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新年あけましておめでとうございます!
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<本文のポイント>
・進化とは、常に昨年(過去)の自分を超えることにある
・事業を成功させるたった一つの要因は「覚悟」にある
・箱根の覇者、青学大がもつ3つの強さの秘訣について
<本文>
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて、新春の風物詩「箱根駅伝」。
今年もメルマガ第一弾として箱根路を振り返りながら、
園経営のヒントを考えたいと思います。
青山学院大学は今年も強かった・・・。
往復217.1kmという長い箱根路を、
予想を遙かに超える襷リレー展開と圧巻の走りで、
事項が昨年出した大会新記録を打ち破り、
10時間41分20秒という大会新記録を樹立し、
総合優勝を果たしました。
青学の強さの秘訣はいったい何でしょう?
過去11年で8度の優勝という驚異的記録を打ち出す
裏側にある強さの最大の要素は、
「昨年最高に強かった青学を打ち破る!」
ここにあるように思います。
原晋監督が青学大監督に就任したのが2004年です。
青学大との契約は3年。
しかも、嘱託職員としての契約です。
就任時大学側と、
「3年で箱根駅伝出場、5年でシード権獲得、10年で優勝」
との約束を交わしましたが、
青学大が箱根駅伝に出場するのは、
原監督の就任5年目の2009年のことです。
3年目は予選会16位に沈み
本選出場は叶いませんでしたが原監督は
「あと2年で結果を出す!」と
期間延長を申し出て大学側と掛け合います。
この辺りは退路を断った人間の覚悟※が窺えます。
※原監督は当初前職の中国電力に
「出向」という形を打診しますが、
そんな中途半端な覚悟では
箱根に導くことはできないと言われ
中国電力を辞めて期限付き嘱託職員を選択している。
そして約束通り監督5年目のシーズンである
2009年(第85回大会)にて
晴れて本選出場を果たします。
結果は途中棄権した城西大学を除く
全ての出場校に先着されて22位。
翌年も予選会からの挑戦となりましたが、
2010年(第86回大会)から
青学大の躍進が始まります。
この年以降シード権(本選10位以内)を毎年獲得し、
2014年(第90回大会)で5位に入ると、
翌2015年(第91回大会)~
2018年(第94回大会)までで
史上6校目となる4連覇の快挙を果たします。
以降今大会(第101回大会)含め
8回の総合優勝を果たし、
その内5回は大会新記録を樹立しています。
原監督のメディアでの発言、インタビュー、書籍、
そして、
青学大の選手のふるまい等を
細かく観察することで見えた
青学大の強さの秘訣は次の3点に集約されます。
この3点は就学前教育・保育施設の
経営でもまた生かせます。
1.育成層に対する管理型マネジメントの徹底
2.トップ層の主体性を尊重したマネジメント
3.監督自らが広告塔となる駅伝(陸上)のエンタメ化
<1.育成層に対する管理型マネジメントの徹底>
2004年当初の青学大の陸上部長距離ブロックは、
部活というよりサークルのような組織だったと言い、
生活面、練習面どれをとっても
到底箱根駅伝出場を目指せるようなチームではなかったようです。
そんなチームに対し原監督は生活面でまずメスを入れます。
寮での集団生活を基本とし、
門限22:00就寝22:15起床5:00とし、
掃除やグランド整備など”本業外”の役割を与え
それらを厳しく管理し意識をチューニングすることで、
メンバー全員が箱根駅伝に出場することを目指す
チームの土台作りをしました。
この段階で、「監督は厳しすぎる」という
批判が噴出したそうですが、
原監督にとってこの厳しさは箱根の常勝軍団を
作り上げる上で必須の課題であり、
箱根に対する揺るぎない覚悟をもって
チームに一体感を持たせる為の
最低限のラインだったのです。
組織として目標を共有する以上、最低限のルールや規律は
あってしかるべきですし、ないとその先の大きな目標を
達成することなど到底できません。
原監督は就任当初から、箱根出場或いはシード権確保が
定着するくらいまでの間はこの「組織の基本のキ」を
徹底的に叩き込むための管理をしたことが窺えます。
妥協なく組織を目標に導くための管理工程は
特に新たな目標を掲げる場合は必須の手法になるはずです。
<2.トップ層の主体性を尊重したマネジメント>
シード権をコンスタントに獲得するようになった
2014年(第90回大会)くらいからだと予想されますが、
選手の自主管理を重んじるマネジメントに切り替えています。
とはいえ、相手は10代後半から20代前半の”学生”ですから、
口を出すべきところに口を出し、
任せる部分を徹底的に任せるという手法で
青学陸上部長距離ブロックは箱根上位常連校であり、
優勝を嘱望されるチームであるという意識を
選手たちに徹底的に植え付けていたようです。
この辺りから原監督のインタビューには”主体性”という
キーワードが目立つようになります。
さて、就学前教育・保育施設においてここはどうでしょう?
国の方針では子どもたちに
「主体的、対話的で深い学び」を提唱しているため、
職員にもそうあってほしいと願う方は少なくないと思います。
ただ、対象となる職員の自立がままならない
(1のステップをこれまでの人生で踏んでいない)としたならば、
やはり、しっかりと管理型マネジメントを
経験してもらうのが筋だと思います。
その代わり、管理するには管理する側の覚悟も必要で、
徹底的に相手に寄り添う必要があると思います。
指摘はするけど、そのあと相手のいいところを見つけて
それを認めるというアクションを怠っては
相手を導くことは到底できません。
原監督(に限らず、箱根駅伝出場校の多くの監督)は
学生と寮生活をともにするので、
否応なしに選手のいい面、悪い面に寄り添うことを
強いられる環境に身を置きます。
生活はともにしないまでも、 一日の大半を職場で過ごす相手ですので、
しっかり寄り添って導くことを基本とするのが望ましいと思います 。
<3.監督自らが広告塔となる駅伝(陸上)のエンタメ化>
GCLIPでは2023年から
”エンタメ化”を経営目標のひとつに掲げています。
原監督はテレビを中心に
メディアで見ない日がないほど高露出人物です。
根底には駅伝(長距離・陸上)を人気スポーツにし、
日本の陸上を世界でより高みに押し上げたい!
という思いがあるようです。
箱根路を走る青学の選手は
皆爽やかな笑顔で颯爽と駆け抜け、
タスキを渡す際に次の選手を笑顔で送り出し、
また送られた側も笑顔と
ガッツポーズで応える印象が強いと思います。
これも一つのエンタメ化を象徴する事例ですが、
鬼の形相で次の走者が待つ中継所へ
駆け込み倒れ、動けなくなる姿は、
視聴者にあの20数キロを走破する時間に伴う
とてつもない苦しみを簡単に連想させます。
「やっぱり走るって苦しいんだ・・・」と思えば、
憧れは容易く消えます。
笑顔で颯爽と駆け抜ける
あの垢ぬけた感じの好青年たちは、
あんな風になりたい!という
憧れの対象としては申し分ありません。
今年区間新記録を樹立し、
5区の山登り、6区の山下りを担った
若林、野村両選手は、
走り終わった後しばらくしてから
カメラ中継の無い場所で倒れこみ
その後しばらく動けなくなっていましたが、
(3日18:00~放送「完全密着!箱根駅伝」より)
カメラが中継している間は
そういう表情は微塵も見せず涼しい顔で
次の仲間とともに喜んだり、
次の走者を送り出していました。
根底にあるのはやはり、”エンタメ化”という名の
「カッコよさ」の演出だと思います。
昨年に続き2区で快走
し区間新記録を樹立した黒田選手も、
4区でトップ中大を45秒差まで
追い詰めた太田選手も
やはりスポーツとしてのエンタメ要素を
持った走りを演出していました。
まずは見事な襷リレーで憧れを醸成した
太田選手はその夜「婚約」を発表し、
ヤフーニュースのトップを飾るというエンタメっぷりで、
好き嫌いなど受け手の個人差はあれど、
やはり露出による憧憬の演出には
青学らしい輝きがあります。
またエンタメ要素としては、
青学大の寮母であり原監督の妻である
美穂夫人がゴールで待ち構え、
選手に胴上げされて話題となりました。
終了後の瀬古俊彦さんからのインタビューで原監督は、
「20年間寮母として選手を支えた人間ですから、
(胴上げされても)いいですよね~」
と、また強烈なエンターテイメントで
またひとつ話題を追加していました。
”強くて””かっこいい”モノや人や
新しい道を切り開く挑戦者への憧れは
今も昔も変わらぬ人間の真理だと思います。
地域一番園である皆さん、
あるいは地域一番園を目指す園は、
地域における「メディア露出」を
できる限り増やしていきましょう。
SNSでも地域情報誌でも、
YouTubeでも何でも構いませんが、
勿論、自園の教育内容に関して
揺るぎない、できれば根拠のある情報を、
自信をもって発信するようにしてください。
ワールドカップサッカーで優勝するチームは、
全員がゴールを狙ってパス回しをすると言います。
駅伝も
「個人のために走る選手の集団は勝てない」
と言われます。
チームで勝つことを共通の目標に
一人一人ができる最高のパフォーマンスを
発揮するチームが勝ちます。
まずは自園のチームを最高の状態に導いて
地域一番園を是非目指し続けてください。
箱根駅伝は年々出場チームのレベルが上がっています。
今年はシード権争いが極めて熾烈な状態になりました。
来年のシード権を獲得した
8位東京国際大、
9位東洋大、
10位帝京大の差はそれぞれ1秒です。
11位の順天堂大はわずか7秒差で
来年のシード権を逃しました。
個人的にはアンカーにのしかかる責任が
あまりにも重すぎると思ってしまいました。。。
アンカーを務めた
東京国際大、東洋大、帝京大、順天堂大の各選手には
心からの拍手を送りたいと思います。
箱根駅伝同様に、
就学前教育・保育業界も年々レベルが上がっていて、
競争も激しくなってきています。
園児募集、採用もさることながら目まぐるしく変わる制度など
指揮官自ら知識を蓄積していただき、
現場が重く責任を受け止めなくてもいいように
整えておいていただけるといいなと思います。
最後になりますが、
GCLIPメルマガ読者の皆様にとって
2025年がより明るく実り多き年でありますことを
心より祈念しております。