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地域一番園以外は
淘汰される時代なのか?
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<本文のポイント>
・「超少子化」「女性就業率の超上昇」「入園の超低年齢化」「超採用難」の到来
・「時流適応型経営」から「地域一番化経営」へ舵を切る
・地域一番園の3要素とは?
・就学前教育・保育施設が担う役割と価値の変遷
<本文>
私たちが実際に得ている情報だけでも、
幼稚園または幼稚園由来の認定こども園で
2025年度末に閉園が決定している数は20を超えます。
園児募集では過半数の園で定員の50%に到達しておらず、
園運営を経営力のある他者に譲渡したいという相談も
今年に入って一気に増加しています。
そんな中、地域一番園の条件を満たしている園には
きっちり子どもが集まっていて、
さらなる発展を遂げている様子がうかがえます。
1. 4つの「超」の時代
「超少子化」「女性就業率の超上昇」「入園の超低年齢化」「超採用難」・・・
これらは就学前教育保育業界全体にとって向かい風です。
勢いを増すこの4つの「超」という逆風に
どう立ち向かっていけばいいのか、見当もつきません。
4つの「超」は現象であるため、
現象自体を抑える特効薬を個々の法人がもつことは、もはや不可能といえます。
それぞれの個別対応策は見当たりませんが、
これらの現象をもろともせず、子どもが集まり、
職員が集まる園が存在するのも事実です。
そしてそれが、「地域一番園」なのです。
2. 2023年までは「時流適応」で凌ぎ「地域一番」でこれから残る!
時流に適応するとは、その時点での大衆のニーズに合うことで、
需要が多いものや需要が増えつつあるものを積極的に取り入れることをさします。
本業界で言えば、認定こども園化がこれに該当しました。
2024年は制度移行で揺れた年です。
就学前教育・保育施設整備事業交付金が枯渇し、2回目以降の募集がストップしました。
これは、需要を大きく超えて業界が認定こども園化にむけて
一気に動き出したことの証左です。
マジョリティが流行を意識したとき、
その流行は最盛期かもうピークを過ぎていると言われます。
栄えたものが衰えるのは流行の宿命ですが、
こうして時流不適応となった時でも、
生き残る力を持っているもの、それが「一番」のものです。
一番の能力、人気、魅力、機能には人を引き付け、
固定化する力があると言われていますが、
今年の園児募集では「地域一番園」に人が集まりました。
子ども子育て支援制度はつまり、時流適応期が過ぎ、
地域一番の時代が幕を開けたということです。
3. 地域一番園は3つの要素で構成される!
主に「地域一番園」は次の3つの要素で構成されます。
① 地域住民や子育て世帯が抱く「不の解消」
② シェア「26%」の獲得
③ 新たな柱「Z軸」を立てて独自固有の長所化する
簡単に説明しますと、
①「不の解消」は地域の子育て家庭が持つ不便益を緩和することをさします。
共働き家庭の多いエリアなら2・3号受け入れによる保育機能の充実ですし、
低年齢児の受入れ対応や
「学童」「児童発達支援事業」「放デイ」「病児・病後児保育」
などがそれに当たります。
「誰通」や「多様な他者(東京都)」も
地域の子育て家庭が持つ「不の解消」につながります。
大事なのは、既にある教育保育の“資産”を生かして新たな価値をつくることです。
幼稚園や認定こども園は資産の宝庫です。
自園の商圏(募集範囲)をご存じでしょうか?
GCLIPでは、未就園の名簿リスト含め、
園児の80%が通うエリアを募集商圏と設定しますが、
このエリア内で1号、2号、3号認定のいずれかの市場占有率(シェア)を
26%獲得できていることが②の条件になります。
シェアは図のような「ランチェスター理論」を活用しますが、
簡単に要約しますと、次の3点に絞られます。
①特定の市場において「ナンバーワン」になる(地域一番化)
②強みがある分野に「1点集中」する(一点突破法)
③売上シェアは「足下の敵」から奪う(足下攻撃)というものです。
さて、幼稚園、幼稚園由来の認定こども園の場合、
1号認定で26%獲得(地域一番園化を実現)しているものの、
対象人口の減少により1号だけでは十分な収入を得ることが難しく、
2号及び3号マーケットを付加することで
更なるシェア拡大に取り組んでいる園が増加しています。
これが言わば足下攻撃による一点突破です。
一度競合に奪われたシェアは再度奪還するのが難しくなりますので、
早めに一番園化して募集の安定化を実現するのも地域一番園の特徴です。
「Z軸」。
聞きなれない言葉だと思います。
しかし、この「Z軸」こそ、「地域一番園」が身につけている
最強のコンテンツなのです。
幼稚園の場合、
これまで提供してきた教育内容やそれを子どもに届ける教職員をX軸とし、
それらを支える預かりや給食、バスなどのサービスをY軸に
差別化を展開してきたのがこれまでです。
しかし、「地域一番園」の時代は新たな「価値」がとても重要な
園選びの指標となってくるのです。
価値というのはその商品やサービスの受け手の実感で変わります。
今のように無償化が当たり前になり、
就学前教育保育にほとんどお金がかからない時代に、
価格を提示するハードルというのは高まっていますから、
「不の解消」の伴うマーケット内での新たな価値、
「Z軸」の発掘及び提供で差別化を図るのです。
ではなぜ「Z軸」がそれほど重要なのか?その理由を少しお話ししましょう。
4. 「時流」と「体験の量」で変化する“顧客価値”
まずは次のスライドをご覧ください。
これは、就学前教育・保育業界のライフサイクル表です。
ライフサイクルとは人生や製品、建物など、さまざまな対象において、
「導入期」「成長期」「成熟期・斜陽期(衰退期)」「安定期」と変化する
一連の過程を指す言葉です。
ライフサイクルの縦軸は「需要」で横軸は「時間」になります。
スライドの「普及率」に目を向けると、導入期16%以下とあります。
幼稚園の導入期は1950年代前半の12%から始まります。
12%しか普及していませんので、幼稚園は憧憬的欲求価値、つまり“憧れ”の対象でした。
しかし、価値というものは普及率の高まりと同時に下がるので、
成長期後期(1960年代後半)には、
たった20年で時の「憧れ」は「当たり前」=生理的欲求価値に代わってしまいます。
その後70年代~90年代には「差別化」が主要なテーマとなり、
差別化によって刷新された価値は再度、「憧憬的欲求価値(憧れ)」
または「文化的欲求価値(時流に適した満足)」へと昇華します。
ただし、差別化要素が他園にもある場合、
マーケットの評価は「生理的欲求価値」のままに甘んじることとなり、
いずれ無価値化してしまいます。
今淘汰の危機にある就学前教育保育事業は、
この状況からの脱却が目下の目標になりますし、
文化的欲求価値への対応にとどまり、
園児数を減少させている園もまた、
この時代の子育て世帯のニーズにどれだけ寄り添えるか?が
重要なテーマとなりました。
「ニーズに寄り添う」。
この努力を継続することで、
ひとが集まり続ける園がいわゆる地域一番園です。
さあ皆さん、地域一番園になりませんか?
既に地域一番園を経営される方は、
これからも地域一番園であり続けませんか?!
というのが、2025年に向けたGCLIPからの提案です。
そして、そんな勉強会を用意しましたので、
「地域一番園実現勉強会」
是非「地域一番園」の皆さん(目指す皆さんも!)、
よろしければ、一緒に学びましょう!