DIARY

【パーパス経営におけるビジョンの重要性】

<本文のポイント>
・なぜパーパス経営が脚光を浴びるのか?
・20年~30年先の商圏人口を算出し計画を立てる
・経営のビジョンは決算書と共に策定する
 
 
<本文>
ほんの少し、いやだいぶ今更感がありますが・・・、
パーパス経営とそれを実現するためのM・V・V
(Mission:使命、Vision:未来像、バリュー:価値観や行動指針)
がなぜ大切なのかを少し解説したいと思います。
 
パーパスやミッション、ビジョン、バリューが大事だ!
と言いますが、、、企業の「志」や「社会的存在意義」というのは
昔から企業経営の軸(拠り所)として大切にされてきました。
 
 
ことさらパーパス経営が脚光を浴びている背景には、
持続可能な社会の実現やエシカル消費の機運の高まりがあるとされています。
また、インターネットの発達による”情報の民主化”もひとつの理由と考えられます。
Twitter(X)やYouTubeなどのSNSは拡散力に優れているため、
企業の不祥事やその企業の商品・サービスの体験で得た不満は特に、
瞬く間に情報となって世界に届きます。
一方、先週のメルマガで林が解説した、
慶応義塾高と仙台育英高の野球部の「コンセプト」のように、
新しいインパクトの伴う好事例に対しては
プラスの影響として早く広く波及するのもこの手のツールです。
 
 
「イミ消費」の時代と言われていますが、
これは企業が存在する意義、目的が商品やサービスに宿るため、
消費者はその商品やサービスを提供する企業が、
どんな目的で企業経営をしているのか?という企業のスタンスを
購買行動によってはかる時代になったという事ができます。
 
 
本業界でも2022年に施設給付型園や認定こども園などが
1万件を超え、私立幼稚園の約80%が新制度に移行しました。
また2019年の幼児教育保育の無償化も後押しし、
自治体によって多少の違いはありますが、
教育保育にかかる「価格の透明化」というのが進んできています。
これも、イミ消費時代の流れの一環と言えそうです。
 
 
さて、このように時代の流れは変わってきている訳ですが、
最近我々の元には将来の事業継続についての相談が増えています。
後継者不足やマーケット縮小の懸念から
「事業継続をしない」という前提での話も少なくありません。
 
勿論、それもひとつの選択肢ですし、
子どもが来ない(≒求められない)状態で継続は出来ません。
ただし、やめるにしても計画的に進める必要はありますし、
そもそも、少し工夫すれば十分に継続できる可能性もあるものです。
そのために、GCLIPでは商圏調査を実施して、
①どんな運営形態で
②誰を対象に
③他園との差別化ないし共存のポイントを明確化し
④どうやって自園の教育保育情報を届けるか?
といったポイントを明確化することを勧めています。
 
とりわけ重要なのが、
将来の対象人口の予測推移を出して
マーケットの動きにアタリをつける事です。
 
 
これは実際に調査したある商圏内の将来人口推移です。
 
 
                        出典:国勢調査データをGCLIPが加工
 
 
向こう10年以内に1㎞圏内の人口が大きく減少するのが分かります。
この状況で現状と同じ募集活動を展開していけば
園児は減少していく事がおおよそ事実として見えてきます。
 
さて、この人口減に対する策を練る上で重要なのが、
冒頭で触れた「パーパス:目的=なぜ自園は存在するのか?」になります。
 
例えば、
「子どもの笑顔を創造し、未来の明るい日本をつくる!」
「地域の子育て拠点となり保護者の幸せをリードする!」
 
など、自園の存在がどんな利益を生み出すのか?
というところがパーパスになります。
 
これを実現するための下層概念として
ミッション、ビジョン、バリューが存在します。
 
中小企業診断士の佐高翔太氏は、
下図のようにパーパス、つまり目的を達成するために、
What=何をするのか?(Mission)
Where=どこを目指すのか?(Vision)
How=どう実現するのか?(Value)
を、パーパスの元でそれぞれ明確化し
ひとつひとつ機能させる必要性を説いています。
 
 
 
                               出典:J-Net21
 
この中でもビジョン=どこを目指すのか?の明確化は
「減の時代」の経営では極めて重要だとGCLIPでは考えています。
 
 
先日、ビジョンの策定には
「未来の決算書の作成」が極めて効果的だと教えていただき、
深く頷いたのですが、
人口が減少する未来はおおよそ確実なものとして見えています。
そうなると、まず規模を縮小するのか、維持するのか?を
パーパスを支えるビジョンに沿って決定していきます。
 
維持するためには、対象人口を拡張する、
或いは、範囲を拡大する必要があります。
仮に受入年齢を下げて対象人口を拡張するとした場合、
施設の改修が必要となり、借り入れが必要になったり、
教職員数を増やす為、人件費支出の増加が見込まれます。
 
つまり、このマーケットで将来の園児数を
同等の規模で維持するとなると支出の増加が見込まれます。
 
 
収入はどうでしょう?
 
これは私学助成園で継続するのか、
新制度園になるのかでも変わりますし、
新制度園でも、施設の類型や定員設定によって大きく変わります。
また、新制度の施設類型は地域の実情に応じて
認定こども園への移行が難しくなっていく事が予想されますので、
行政との協議をこまめに重ねていく必要があります。
 
私学助成園の場合、
現状の収入((給付費収入+学生生徒納付金収入+補助金)÷園児数)を
算出し、その単価に将来園児数を掛け合わせた金額を基に計画を立てます。
新制度園は、さしあたり最新の試算ソフトを使って、
1号及び2・3号受入計画を立てていくつかのパターンで試算します。
 
この収入と支出の差額がどの程度になるかで、
その先の事業の見通し(どこを目指すのか?)を立てる判断材料なります。
 
 
教育とは人づくりと言われます。
昨今の幼児教育・保育施設は特に、子どもの育ち以外に、
親の子育てに寄り添ったり、就園前の子どもの居場所になったり、
まさに家族のために果たす役割が増えてきました。
一方、現実に目を向ければ子どもの数は減少しており、
供給量(幼児教育・保育施設)が過剰になるため、
共存・共生と言われますが、競争は間違いなく激化します。
 
 
是非、本メルマガ読者の皆さんは競争を勝ち抜いて、
地域に必要とされる園であってほしいと思います。
そのために、まずは将来人口推計とマーケット調査を実施し、
存在目的を軸に立てた数値的根拠をもって
収入と支出の計画を立てて力強く成長をして下さい!
 
我々も皆さんの役に立てるよう力を蓄え、
先の見えない不透明な時代の海原を
楽しみながら航海していきたいと思います。
共に成長してまいりましょう。