DIARY

【甲子園から見るマネジメント ~最後に重要なお知らせあり!~】

全国高等学校野球選手権大会は慶應義塾高等学校が107年ぶりに優勝
・以前のレギュラーの選手に頼る野球から、選手層の厚さが勝つための大きなポイントになりつつある
・慶應野球部の森林監督も、仙台育英野球部の須江監督も「対話」を重視
・仙台育英野球部は「日本一からの招待」「日本一激しいチーム内競争」で2年連続の決勝進出を実現
・不安定、不透明な時代だからこそ、先回りして伝えることが大切!

8月23日、甲子園の決勝が行われました。
103年ぶりの決勝進出を果たした慶應義塾高等学校と
夏連覇を目指し、決勝進出を果たした仙台育英高等学校
という組み合わせでした。

結果は8対2で慶應義塾高等学校の勝利で幕を閉じました。

試合展開としては慶應の先頭打者ホームランが何よりも大きく、
初回から一気に球場のムードが慶應ムードとなり、
仙台育英にとっては苦しい試合展開となりました。

慶應としては先制点を幸先よくあげることができ、
さらに大応援団の後押しもあり、
理想の試合展開で進めることができたのではないかと感じます。

107年ぶりの優勝ということで、連日ニュースで取り上げられ
選手の髪型が坊主ではないことや、
大応援団の迫力、森林監督の指導方針など、
様々なことが紹介されています。

今回の甲子園は選手層の厚さが勝利に大きく影響していたように感じます。
夏の甲子園は気温が高く、特に今年は暑かったです。

もはやこの気温の中で一人の選手に頼るような戦略は無理があります。

また、チーム全体のまとまりとしても、
ベンチスタートの選手が活躍することで、
本当の意味で全員野球が実現され、
チームの雰囲気も抜群に良いものになります。

選手層の厚さという視点では、慶應も仙台育英もとてもレベルが高く、
ベンチの選手が途中交代で出場し、活躍をするケースが多かったです。

この選手層の厚さがなぜ実現できるのか、
日常の練習がポイントになっているようです。
そのポイントは後述します。

様々な要因があり、強いチームになったと考えられますが、
チームを率いている監督の方針をベースに
なぜ強いチームになれたのかということに
少し迫っていきたいと思います。

・対話を重視
慶應の森林監督と、仙台育英の須江監督にはある共通点があります。
それは、現役時代は華々しく活躍した選手というわけではなかったということです。

森林監督は高校時代は遊撃手をしていたそうですが、
話題となるほど活躍をしたということではありません。
また須江監督は練習試合にも出た記憶がないと仰っています。

実は監督として活躍されている方は
自分の現役時代はあまり活躍していなかったケースが意外に多いのです。

例えば青山学院大学駅伝部の原監督も
現役時代の成績は目立ったものはなかったと公言しています。

さて、こういった監督がなぜ成果を出すのかというと
「自然にできてしまう人」は「できない人」の気持ちはわからないし、
「どうやってできるようになるのか」を言語化する能力がない人が多い、

ということが理由であるようです。

森林監督も、須江監督もだからこそ伝え方にこだわりを持ち、
選手に丁寧に伝えています。

そして、二人とも大切にしていると公言していることが
「対話」「傾聴力」です。

選手の話を聞き、選手自らが考え、行動できる雰囲気づくりを
徹底して作っているのです。

伝え方にこだわり、しっかりと対話をする。

これが二人の共通点であり、
強いチームを作る一つのポイントだと考えられます。

・コンセプトがしっかりとしている
慶應には「エンジョイ・ベースボール」というコンセプトがあり、
仙台育英には「日本一からの招待」というコンセプトがあります。

日本一からの招待とは、日本一を目指すのではなく、
日本一から招かれるような行動や言動、練習を心がけるということです。

どちらのチームにもコンセプトがしっかりとあり、
どちらのコンセプトもしっかりと選手に浸透されている
というところが強いチームである一つのポイントだと感じます。

仙台育英の須江監督は履正社高校に勝利した際の勝利監督インタビューの中で、
「まだベスト8なんだなという気持ちが強い。
前半に守備のミスがたくさん出て、
奇跡みたいに1点しか取られなかったので、
神様に勝てと言われたと思って冷静に戦えたと思う。」
という話をしています。

神様に勝てと言われたと思って…というところは
まさしく「日本一からの招待」というコンセプトがあるからこそ
出てくる言葉なのではないかなと思います。

また、例えば選手一人一人が日本一からの招待を意識しているからこその行動もありました。

神村学園戦にて、神村学園のピッチャーに対して強烈なピッチャーライナーがありました。
その直後、仙台育英のランナーコーチが相手ピッチャーに駆け寄り、
コールドスプレーをするという行動を取っていました。

仙台育英のこういった行動は多くの方々から称賛され、
誰もが応援したくなるような人間性を身につけているように感じます。

日本一から招かれるようになるということを一人一人が認識している行動だと感じます。

・選手一人一人が当事者意識を持つ「日本一激しいチーム内競争」
仙台育英では日本一から招かれるチームになるために、
日本一激しいチーム内競争をテーマに
日頃の練習に打ち込んでいます。

仙台育英では全員がレギュラーになれるチャンスがあるということを前提に、
練習試合での試合数や打席数、投球数など、
出来る限り選手一人ひとりにチャンスを与え、
その結果をしっかりと分析しています。

また、「トップレベル」と「目標」という形で明確に数字で基準を示すことで、
選手は目標を設定しやすくなり、モチベーションの維持
にも繋がっています。

例えば30m走や50m走、盗塁のタイム、
スイングスピードや打球速度、
球速、対角送球(取ってから投げるスピード)、
投手のストライク率、被打率や奪三振率など様々な基準が設定されています。

こういった目標値を選手全員と共有し、
実際に計測をしています。

ここまでしっかりと目標があると、
選手が当事者意識を持ち、その数字を目指して自主的に練習をする姿が想像できます。

冒頭で選手層の厚さが勝ち進んでいくために重要なポイントになっている
ということをお伝えさせていただきましたが、
仙台育英は一試合で平均14名の選手を起用します。

昔であればほとんど9名のスターティングメンバ―が中心に試合をし、
交替しても1名から2名程度ということが多かったように思います

しかし、仙台育英は日本一激しいチーム内競争を行うことで、
選手が大きく成長し、選手層が厚くなっているのです。
そして、競争を全力でやってきたからこそ、
惜しくもレギュラーになれなかった選手は悔しさもありながら
納得
して前に進み、応援を全力で行っています。

完全に置き換えることが出来るわけではありませんが、
幼稚園においても、先生方はチームです。

チーム全員が同じ方向を向き、成長意欲を持って
日頃の仕事に打ち込むことが出来れば理想的です。

そのためには、森林監督や須江監督のマネジメントを参考にすると
①対話、傾聴を意識すること
②コンセプトを明確にすること
③当事者意識を持ってもらうこと

という三つがポイントになるのではないかと思います。

幼稚園は明確に数字で目標を設定することが難しい業界であるため
当事者意識を持ってもらうことはなかなか難しいことですが、
①の対話や②のコンセプトが当事者意識にも繋がっているように思います。

・先回りして伝える
最後に須江監督がこだわっていることについて、
少しお伝えしたいと思います。

それは「先回りして伝える」ということです。

須江監督は選手に何かを伝えるとき、
必ず先回りをして伝えるということを意識されているそうです。

後出しになってしまうと選手との信頼関係も構築されず、
その後の対話や傾聴に大きく影響が出ます。

仙台育英は敗戦後、相手選手に拍手を送り、勝利を讃える姿が
ニュースに取り上げられていました。

須江監督は常日頃から「人生は敗者復活戦、グッドルーザーになりなさい」
ということを伝えていたと言われています。

もしかするとこの話を敗戦後に突然選手が聞いたら、
なかなか相手選手を讃えるような行動はとれなかったかもしれません。

日頃から先回りし、選手に大切なことを伝えているからこそ、
選手がそれを自然と行動するという流れになっているのです。

世の中はとても不安定です。

そういった中で先回りをして伝えていくことはとても難しいことです。
しかし、だからこそ先回りして伝えることで
チームが一つとなり、まとまっていく
のではないかと感じます。

ぜひ先生方も先が見えない時代ではありますが、
少し先回りして伝えていくことにチャレンジしていただければと思います。

【重要なお知らせです!】
GCLIPでは11月24日(金)に10周年セミナーを開催いたします。
実はこのセミナーにて、今回、2年連続の甲子園決勝進出、準優勝に輝いた
仙台育英高等学校野球部監督の須江航先生をゲストにお招きし、
ご講演いただく予定です。

今回のメルマガで部分的にお伝えさせていただきましたが、これらはほんの一部です。
須江先生のお話はマネジメントを行っていく上でたくさんの発見があることは間違いありません。

詳細は決定次第改めてご案内いたしますが、
Z世代と呼ばれる今の若者のマネジメント技術の習得をお考えの方
是非日程を確保しておいて下さい。