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マーケティング発想の再考察と自園へのアレンジ
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<本文のポイント>
・マーケティングとは「 相手に気持ちよく次の行動に移ってもらうこと」
・ こども都庁モニターを使った都の子育て支援政策のマーケティング
・故・東野圭吾氏の本嫌いが読了するためのマーケティング
・就学前教育・保育施設がとるべきマーケティング”とは”?
<本文>
GCLIPにおけるマーケティングは
「相手に気持ちよく次の行動に移ってもらうこと」
と、定義しています。
これはコンサルタントの草分けとして知られる
故・舩井幸雄氏よりヒントを得ています。
氏はMarketingをMarket(市場≒人)とing( 進行形≒動く⇒変化)
つまり、人の動き(変化)に対応することと定義づけました。
これは、どちらかというと成熟社会(物が行き渡った時代) に軸足を置いた
販売促進のための考え方と捉えると理解しやすいと思います。
成熟社会(物が行き渡った時代) は基本的にモノが売れ難い状態にあります。
顧客側が選んで物を買う時代なので売る側は、
顧客の(Market)多様化するニーズ(ing=動き⇒変化)
に対応しながら少しでも多くのプロダクトを売るための
商品、販促、価格、 流通などを試行錯誤しながら決定していきます。
これを「マーケットイン」と呼びます。
まさに今この時代の就学前教育・保育施設はこの状態にあると考え ています。
未成熟社会は一方で、「物不足」の時代です。
基本機能が整っていて作れば売れる、そんな時代です。
2000年~2010年代の保育施設はそんな感じで、
保育施設(2・3号認定児受入施設)を作りさえすれば
自動的に子どもが入ってくるという状態の園が多かったと思います 。
新制度開始以降は認定こども園という新たな業態も付加され、
保育施設として機能が整っていれば子どもで満たされる状態でした 。
明らかに不足しているモノを作れば売れるのが「プロダクトアウト 」です。
提供する商品やサービス等が、
「マーケットイン型」か「プロダクトアウト型」かについては、
このように社会(業界)の成熟度や政策によって変化する時代背景 によって
大きく変化する、という特徴を持ち合わせています。
7月28日号のメルマガで林はこれを踏まえ次のように提示してい ます。
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今までのマーケティングの方向性は「差別化」や「個別化」 でしたが、
GCLIPではこのような時代に求められているマーケティングの 方向性は
「信用の貯蓄」「信頼構築」であると定義しています。
GCLIPではこのような時代に求められているマーケティングの
「信用の貯蓄」「信頼構築」であると定義しています。
幼稚園は地域に根付き、運営するものです。
地域を移動しながら運営することは基本的にできませんので、
近年ではマーケティングを進めていく上で
地域に密着した「信頼」がとても重要になっています。
わかってくれる方々にわかってもらえれば良い
ということではなく、
わかってくれる方は強いファンになり、
わからない方にとっても印象の良い園を目指す
ということが大切です。
そのためには教育・保育に力を入れることは前提として、
時流に合ったマーケティングをしていくこと、
地域の社会的な課題に目を向けること、
地域に新しい価値を提供できる何かを検討すること
などが必要になります。
今のトレンドに合った仕組みづくり、
今の保護者世代に合った媒体の運用、
最新技術を活用した効率化など、
時代に合った知識や技術を学ぶことによって、
より地域に根付いた運営が実現されていきます。
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時流に合ったマーケティングとは、冒頭で紹介した
マーケットイン型の受け入れ環境の開発と発信を指します。
2019年10月開始の「無償化」という時代の流れにより
幼児教育・保育は低年齢からの預け入れのムーブメントが起こり、
かつ、無償化の影響も拡張している今の時代は、
「差別化」よりも「信用」や「信頼」の重要性が増しています。
もちろん差別化が不要なわけではありませんが、
園選びにおけるマーケティングの優先順位が変わり、
信用や信頼が優先して満たすべき要素となったのです。
背景には出生数の減少と、女性の就労率の上昇があります。
就労率の上昇は低年齢児からの保育ニーズを押し上げ、
出生数の減少は自治体間の保育サービス拡充による
若年層世帯の獲得合戦の激化を招いています。
子育て世帯に対し手厚い保育サービスを展開している東京都は、
2025年度に1.0%(857人) ほど出生数が回復しています。
目を見張るほど劇的な回復ではありませんが、
都道府県47の内43が昨対でマイナス成長を続ける中、
プラスに転じているので一定の効果はあったと言えそうです。
東京都もまた、こども都庁モニターというサイトを使い
「マーケットイン」で子育て支援政策を展開しています。
こども都庁モニターとは、
「子ども目線」の政策を推進する専門部署(子供政策連携室) を設置し、
子ども本人や未就学児の保護者から
直接Webアンケートで意見を集める仕組みとして
2021年に創設されました。
その後2023年より
未就学児〜高校生世代の本人、およびその保護者を対象に
1200人のモニターを公募・選任し
意見を集め政策決定に反映させています。
昨年度はアンケート調査が6回行われ、
96.2%の高回収率を実現しています。
このように都政でさえも
若者・子供市場を知る地道な努力を行うことによって、
相手が気持ちよく次の行動に移るための提案を行い、
成果に結びつけているのです。
7月23日に他界された小説家の東野圭吾さんもまた、
人々はどんな書物を求めているのか?を徹底して追求する
「マーケットイン型」の小説家だったと言われます。
本人はもともと本を読むのが苦手だったそうですが、
小峰元 作の『アルキメデスは手を汚さない』との出会いをきっかけに
物語の世界へ引き込まれ、
途中で挫折させない読書体験を追求する作家となります。
「読者は基本的に集中力が続かない」
「退屈するとすぐに本を閉じてしまう」
という読者側の気持ちに立ち、こういう人たちが、
途中で脱落しないための以下4つの動線、
今風に言えば、UX(ユーザー体験)の工夫を
徹底的に凝らすようになったそうです。
①「1ページ目」から事件・引きをつくる(ロケットスタート)
読書嫌いな人間は、 長々とした背景説明や情景描写が続くと飽きるので、
冒頭の数ページ以内に「事件」「謎」「異常な状況」を提示し、
一気に物語へ引きずり込む構成にする。
② 過剰な装飾を削ぎ落とした「透明な文章」
難読漢字や凝りすぎた比喩表現、長い地の文を徹底的に排除し
文章そのものを鑑賞させる文学作品ではなく、
「読者の頭の中に映像がスムーズに浮かぶこと」を最優先した
文章設計(リーダビリティの徹底)を行っている。
③フック(引き)の短い章建てとテンポ
1つの章や節を短く区切り、各章の終わりに必ず
「次の展開が気になる引き(クリフハンガー)」 を作ることにより、
読者に「あと1章だけ読もう」と思わせ、 気づけば最後まで読み切らせる
心理的仕掛けを施している。
④「理屈」ではなく「感情」と「謎」で引っ張る
本格ミステリーのロジックだけでなく、 人間関係のドロドロとした感情や
「なぜそんなことをしたのか(Why Done It?)」という
感情移入しやすいテーマを軸に置くことで、
活字に慣れていないライト層でもページをめくる手が止まらないよ うに仕掛る。
いかがでしょう?これも、読書という視点での
相手が気持ちよく次の行動に移るための工夫ですね。
さて、東野さんにとって『アルキメデスは手を汚さない』 との出会いは、
単に「本が好きになった」というだけでなく、
「活字嫌いの人間を夢中にさせる物語の力」 を体感した瞬間だったのです。
かつての自分のような本を読むのが苦手な読者でも、
一度開いたら途中でやめられず、 最後まで一気に読ませてしまう本を作る
という徹底した読者目線が、
彼を日本一のメガヒット作家へと押し上げた最大の源泉となったよ うです。
さて、
皆さんの園がある地域の子育て世帯が求めていることは何でしょう ?
(自園を) 好きな人が入園してくれればいいというのは真理ですし、
ミスマッチを防ぐ上で最も重要な考え方であるとGCLIPも考え ます。
しかし、
①対象となる子供の数は減少していて今後増える見込みも低い
②共働きがスタンダードで、 低年齢からの保育ニーズも増加の一途にある
これらの前提を受入れたときにまずやるべきは、
「好きになってくれる人と出会う機会を増やすこと」です。
AIDMAの法則はご存知の方も多いと思いますが、
まず、Attention(=知ってもらうこと)があり、
次に、Interest(=好きになってもらうこと)が来ます。
知ってもらい、好きになってもらえれば、入園の確率は一気に高ま ります。
この二つの動線設計を2学期が始まる前に是非していただきたいと 思います。
