DIARY

自園の成熟度に応じたマネジメントシステムを選択しよう!

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自園の成熟度に応じたマネジメントシステムを選択しよう!
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<本文のポイント>
・SAMURAI BLUEの黎明期から成熟期への移行過程をひも解いてみた
・就学前教育・保育業界の成長期から成熟期と重ねマネジメントを考察する
・個々の「自園で働く理由が明確」な園の持続性は高くなる

<本文>
W杯2026、
惜しくも1-2でブラジルに敗退した日本ですが、
あの強豪ブラジルを相手に実に心躍る試合展開をしてくれた
日本代表の雄姿に心より拍手を送りたいと思います。
グループステージ含め今大会ピッチ上で躍動する選手の姿は、
感動を与えるだけでなく、
現代の組織マネジメントやリーダーシップにおいて
極めて重要なヒントを私たちに提示してくれてました。


(すみません。。。日本サッカー変遷の長文ですがお付き合いくださいm(__)m)

さて、今大会通して画面に映し出される日本チームですが、
ハーフタイムやハイドレーションタイム(給水)の光景に目を向けると、
監督が一方的に指示を出す姿ではなく、
ピッチ上で実際に戦う選手たちが、
身振り手振りを交えて激しく戦術的なディスカッションを行い、
その後ろで森保監督が見守りながら、ポイントで一言二言添える…
そんな「選手主導」の光景を多く目にします。

何よりも複数の主力選手をケガで欠いているにもかかわらず、
安心して試合の流れを観戦できるのは、
選手たちが自ら考え、ピッチ内で最適解を導き出す
「自律型チーム」
であることの証左ともいえましょう。

日本代表がこのレベルに到達したのは
1998年のW杯初出場から起算して
実に20年以上も経過してからのことです。

 日本サッカー界にとっての最大の原点であり、
今なお痛恨の記憶として語り継がれる「ドーハの悲劇」ですが、
W杯初出場を目前に控えた最終戦のイラク戦ロスタイム、
相手の同点ゴールによって夢が潰えたあの瞬間、
日本代表はオランダ人監督ハンス・オフト率いる徹底した管理型チームでした。
 

当時の日本サッカーは、
Jリーグが開幕したばかりのプロ黎明期で
世界と戦うための戦術的な基礎も、
プロとしての国際舞台の経験も圧倒的に不足していました。
そこでオフト監督が導入したのが、
いわゆる「トップダウン型の規律」です。
当時の選手たちにとって、この規律は
絶対的な「約束事」であり、
監督の指示通りに動くことが
世界の背中を捉える唯一の手段だったのです。

戦術的な「型」を徹底的に叩き込む
管理型のマネジメントがあったからこそ、
日本は初めてアジアの最終予選を勝ち抜く
一歩手前まで到達できたと言われています。

しかし、裏を返せば、
当時のチームは「指示された型」を忠実に実行する集団であり、
ピッチ内で予期せぬ事態が起きた際、
選手自らが臨機応変に戦術を修正する力は
まだ備わっていなかったということです。

「ドーハの悲劇」のラスト数分間、
肉体的にも精神的にも追い詰められたピッチの中で、
誰も状況をコントロールできずに失点を喫した背景には、
当時の「指示待ち・管理型組織」の限界が潜んでいました。

以降、日本代表は1998年フランス大会を皮切りに、
W杯の常連へと成長していきます。
しかしその歩みは、「管理(トップダウン)」と「自由(ボトムアップ)」の間で
揺れ動く、試行錯誤の四半世紀だった
ともいえます。

フィリップ・トルシエ監督(1998〜2002年)は、
オフト監督以上の徹底的な管理型マネジメントを敷きました。
選手の個性をシステムの中にカチッとはめ込み、
一糸乱れぬ組織美で2002年日韓W杯ベスト16という結果を残しましたが、
選手からは「ロボットのように動かされている」という不満や、
ピッチ内での創造性が奪われるという弊害も指摘されました。

 一方、トルシエの後任のジーコ監督(2002〜2006年)は、
「自由放任型」とも言えるマネジメントを選択します。
「ピッチ上の主役は選手。自分たちで考えろ」と、
個人のひらめきや自主性を重んじるチーム運営をします。
しかし、当時の日本代表には「自由」を支えるだけの戦術や、
ピッチ内で主体的にチームを方向づけるリーダーシップ、
何より個々が自律し、主体的な判断によるプレーが未成熟でした。
結果として2006年ドイツW杯で惨敗を喫することになります。

その後も、
イビチャ・オシム監督による「考えて走るサッカー」の提唱や、
アルベルト・ザッケローニ監督による「1本の世界基準の戦術の固定」など、
日本代表は「監督が戦術を与え、選手がそれに適応する」という
枠組み(管理型)から完全に脱却することはできずにいました。
2014年ブラジルW杯での惨敗もまた、
用意した戦術が通用しなくなった時、選手たち自身でピッチ内の状況を
打開できなかったことが大きな要因でした。

 

(サッカーに興味がない方には大変申し訳ないのですが…)
ここまでの大会を観戦された方は記憶に残っているのは、
強豪チームが相手の試合では特に、
「手に汗握りながらホイッスルを待つ」みたいな状況で、
安心して観ていられない試合が多かったと思います。

 

さて、日本代表が「管理型」から「自律型」へと成熟する上で、
最大のパラダイムシフトとなったのが、2018年ロシアW杯決勝トーナメント、
初戦の対ベルギーでの「ロストフの悲劇」だと言われています。

西野朗監督に率いられたチームは、
優勝候補の一角であるベルギーを相手に後半、
一時2点をリードする快挙を見せました。
しかし、ここからベルギーの名将マルティネス監督が仕掛けた怒涛の戦術変更に対し、
ピッチ上の日本代表は対応が遅れ、瞬く間に同点に追いつかれます。
そして後半アディショナルタイム、日本のコーナーキックをキャッチした
ベルギーのゴールキーパーからのわずか14秒間の高速カウンターで、
逆転ゴールを許し、初のベスト8の夢は潰えてしまったのです。

この「ロストフの14秒」で、
ベンチからの指示を待つのではなく、相手の変化を瞬時に察知し、
選手同士の会話だけでシステムを創り変えなければ、
世界トップの壁は絶対に破れない
ことを痛感したのです。

これまでの
監督に与えられた戦術をどれだけ高いクオリティで遂行できるか」
というマインドセットが完全に崩れ去り、
「ピッチ内の選手自らが監督となり、戦術をアップデートする力」
が不可欠であることを悟ったのでした。
この体験が、日本サッカーの「成熟」への最大の転換点になりました。

この教訓を引き継ぎ2018年秋に誕生したのが、
森保一監督率いる現体制です。
森保監督のマネジメントは、それまでのどの監督とも異なる
「ボトムアップ型」のチーム作りでした。
自分の役割を「監督ではなく監督係」とか、
「羊飼いではなく、後ろから支える牧羊犬」と
著書の中でを表現していることでもわかる通り、
上から絶対的な戦術を押し付けるのではなく、
欧州のトップリーグで常に修羅場をくぐり抜けている
選手たちの意見を積極的に吸い上げ、
彼らの主体性を引き出す環境作りに徹している
のがわかります。

このマネジメントシステムが機能したのが前回2022年カタール大会でした。
ドイツ戦やスペイン戦で、

日本は前半に圧倒的な劣勢に立たされながらも、
後半に劇的な逆転勝利を収めました。
この時、ピッチ上で行われていたのは、まさに選手主導の戦術変更です。
鎌田大地選手や吉田麻也選手、遠藤航選手らがピッチ内やハーフタイムで
「所属クラブでの経験」をもとに守備のハメ方を話し合い、
システムを3バック(5バック)へと移行する提案を行いました。
森保監督は、選手たちのこのリアルな感覚を信頼し、
即座に「経営判断」として交代カードの提示を実行したのです。

これは、単なる「放任」や「丸投げ」ではなく、
以下の2つの厳格な基準(参入基準)を組織の土台として敷いていました。

①規律と一体感の重視
②献身的なハードワーク

 

「チームあっての個人」という明確な献身性の「哲学」を共有しているからこそ、
選手たちが自由にアイデアを出し合い、

判断できる型を渡す手法が機能したのです。

いま私たちが観ている日本代表は、カタール大会での成功体験を経て、
さらに高い次元へと成熟を遂げています。
現在のチームにおいて、主要メンバーのほとんどは
ヨーロッパのトップクラブで戦術の核を担い、組織を引っ張る存在です。

現在アメリカで躍進を続ける森保JAPANは、
「管理型」か「自由型」かという二者択一のフェーズにはいません。
監督やコーチから提示されるデータと大枠の戦略をベースに
ピッチ上のわずかな歪みや相手の出方を見極め、
リアルタイムでフォーメーションやゲームコントロールのテンポを
「自分たちで決定」しながらプレー
しています。

これが、「ドーハの悲劇」以降長い時を経て
経験と試行錯誤を重ね到達したチームの姿です。
指示を待つのではなく、全員が自律し、リーダーシップを発揮するチームは、
長年追い求めてきた「世界で勝てるチーム」の完成形
と言えるでしょう。

 

さて、ずいぶんと前置きが長くなりました。
1975年に私学助成法の施行によって
日本社会の成長と共に加速的に発展した幼稚園ですが、
就園率は1993年の64%をピークに減少の一途を辿り、
2015年の子ども子育て支援制度が開始したことで、
一気に成熟化へ転換した就学前教育・保育業界と重なる点が多くあります。
この転換はとりわけ「軍事的世界観」から「冒険的世界観」へと
マネジメントのパラダイム(思考の枠組み)が変化している
今の園経営と向き合う上で外せないポイントともいえます。
成熟期に入り10年以上経過した就学前教育・保育業界ですが、
皆さんはどんなマネジメントを心掛けていますか?

成熟期のマーケティング(園児募集や採用活動)では、
「これ!」といった劇的な打ち手はもはや存在しません。
「やるべきこと」をやらない言い訳をつくらずに
愚直にやり続けているところがしっかり成果を出しています。
そして、その成果を出すチームを創造し、
チームに所属する個々が機能するようにマネジメント力を
高めていく必要があります。

制度も昨今「質の向上」に対してアクションを起こしている園に
公定価格の配分比重が傾くようになっています。

トップダウンがいいとか、ボトムアップがいいという話ではなく、
「自園の成熟度」に応じた手法のマネジメントを展開する必要があります。

まずは、自園の今のポジションを見極め、
自園の教育をつかさどる職員の資質向上のための計画を策定し、
評価シートと制度を整備したうえで、
個々が輝くためのフィードバック面談を繰り返し、
自律型のチームを目指してください。

成熟社会は、多様な選択肢に溢れた社会です。
自園で働き続ける理由を職員が主体的に見出せる組織こそが
人も集まり、定着率も高まりますので、
持続性のある良質な個の集まるチーム作りが実現するはずです。