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「自分たちの頃はこうだった」が通用しない 人的資本時代のマネジメント

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「自分たちの頃はこうだった」が通用しない
人的資本時代のマネジメント
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<本文のポイント>
・「自分たちの頃はこうだった」が通用しなくなった背景
・25卒の学生に見られる、自分の時間を大切にする価値観
・人的資本経営において重要となる評価制度の構築

前回、1月13日のメルマガでは、
「失敗したくない若手」に響くマネジメント事例として、
“理想の上司像”と称される
アーティスト・ちゃんみなの指導方法についてお伝えしました。

今回のメルマガでは、
就学前教育・保育施設における組織の変化と、
これからのマネジメントに求められる視点について、さらに踏み込んで解説していきます。

主任やリーダーなど、マネジメントに関わるNo.2層の先生方が、
以前よりも難しい役割を担っていると感じることはないでしょうか。

現場を理解しながら経営の意図を汲み取り、若手職員とも日々向き合う―
こうしたNo.2層の役割は以前からありましたが、
ここ数年でその負荷と複雑さは、より一層増しています。

その背景には、園を取り巻く環境の変化だけでなく、
「人」をどう捉えるかという経営の前提そのものが、
大きく変わりつつあることが挙げられます。

マネジメントの中心を担うNo.2層の先生方から、
よく聞かれる言葉の一つに、
「自分たちの頃は、もっと厳しかった」
「説明されなくても、見て覚えるのが当たり前だった」といったものがあります。
これらは、これまで園を支えてきた経験があるからこそ、自然と出てくる言葉でしょう。

しかし一方で、同じやり方を今の若手職員にそのまま当てはめようとすると、
違和感や摩擦が生じやすくなっているのも事実です。
その理由は、個々人の意識の変化というよりも、
働く人を取り巻く社会的な前提そのものが、大きく変化してきたことにあります。

近年、国として「人的資本経営」という考え方が、積極的に推進されるようになりました。
経済産業省によると、「人的資本経営」とは、
「人材」を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、
中長期的な企業価値の向上につなげる経営のあり方と定義されています。

簡単に言えば、人を単なる労働力やコストとしてではなく、
組織の価値を生み出し、将来の成果につながる重要な「資本」として捉える視点です。

有価証券報告書を発行している企業では、
2023年の「企業内容等の開示に関する内閣府令」改正により、
人的資本に関する情報開示が義務化されました。
また、施設型給付園に義務付けられている「経営情報の見える化」においても、
人的資本経営に関する情報の記載が求められています。

このような状況の中で、マネジメントの前提が
「昔はこうだった」「自分たちも耐えてきた」という経験論に偏ってしまうと、
若手職員との間に、価値観の断絶が生じやすくなります。

マネジメントにおいては、
世代ごとのキャリア観の変化を理解することが重要です。

従来世代は、法人中心のキャリア観を持っていました。
人手が不足せず、長期雇用が前提だった時代には、
「法人の中で求められる役割を果たし続けること」が、
組織の安定と成長を支えるキャリア観でもあったのです。

一方、これからの世代は、個人中心のキャリア観を持っています。
働き手の減少や共働き世帯の増加、
キャリアの長期化といった社会背景の変化により、
キャリアの捉え方そのものが大きく変わりつつあります。
自分の人生をより豊かにし、自己実現を探求するために、
「自分の人生の中で、この法人で働く意味は何か」を考える視点が
重視されるようになっています。

下グラフのマイナビ調査からも、
人生において仕事の優先度が高い学生が減少していることが分かります。

人生において優先度の高い要素を見てみると、
2017年卒は、家族>仕事>趣味>自分の順番だった優先度が、
2025年卒にかけて変動しています。

「家族」が最多なのは変わりませんが、
「仕事」が2019卒以降減少しており、「自分」「趣味」が近年増加しています。
これは、自分の時間を大切にする価値観が広がると同時に、
人生において大切にしたいものが複数あることを示すデータです。

ここで重要なのは、個人中心のキャリア観が広がり
「自分の人生にとって、この仕事はどんな意味を持つのか」を考える時代だからこそ、
法人として大切にしている軸や特に評価していくものを、
これまで以上に明確に示す必要があるということです。

評価制度は、単に成果や行動を点数化する仕組みではなく、
法人が大切にしている価値観を、教職員一人ひとりに伝え、
努力の方向性を示すための重要なツールです。

・ 仕事におけるどのような姿勢を求めるのか
・ どのような行動を“園らしさ”と考えるのか
・ どのような努力が、キャリアアップにつながるのか

これらが言語化されることで、
一人ひとりが「正しい努力」を重ね、理想的な組織の姿へと近づいていきます。

処遇改善加算の一本化によって、キャリアパス要件が要件化されました。
このキャリアパス要件では、職場環境の改善を指しており
キャリアパスの構築やフィードバックの面談による
質の向上を押し上げていくための仕組みの構築が求められます。

教職員一人一人が段階的に成長していくには、
どのような力を身につける必要があるのか、
また研修や育成の取り組みがどのような力として身についているのかを
本人と確認して共有することが大切です。
その成長を可視化し、次のステップに繋げていくための評価制度が、
キャリアパスを実際に機能させるための土台となります。

評価制度は、園として重要視したい要素を項目ごとに整理し、
等級や役職に応じた評価内容を設定していきます。

▼評価項目の例

そして重要なのが、継続的なフィードバックです。
各項目について自己評価を行ったうえで、
上司との面談を通じて評価をすり合わせ、
今後の目標や取り組むべきことを確認していきましょう。

法人が大切にしている価値観や方向性を共有することで、
職員一人ひとりの納得感を高める効果が期待できます。
進化し続ける組織として、ぜひ取り組んでみてください。

人が育ち、定着する組織づくりについては、
GCLIPが2月25日、3月24日に開催する
「新時代の組織改革セミナー」でも、じっくりと解説いたします。

「自分たちの頃はこうだった」というジレンマを抱えるNo.2層を持つ法人様は、
ぜひ本セミナーをご活用いただき、
新たな組織へと進化していくきっかけにしてください。
https://www.gclip.net/seminar/6045/