DIARY

【”冒険的世界観”で組織を牽引するマネジメント】

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 ”冒険的世界観”で組織を牽引するマネジメント
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今日は、是非本文そのままお読みください!
 
「こなす」という”作業”に
「思考」という”工夫”を加えることで、
仕事はいくらでも楽しくできる!
 
こう切り出したのは、
飲食業界の寵児、赤塚元気さんです。
赤塚さんの紹介はコチラに譲り
本文では省略しますが、
年商100億の飲食企業経営者です。
 
従業員の8割以上が
パートアルバイトで構成される飲食業界で
夢や憧れを抱いて、
非常にモチベーション高く働く従業員で
あふれるのが赤塚さん率いる
DREAM ONという会社なのです。
 
その秘訣が冒頭の
「作業」を「仕事」に昇華するうえでの
様々な仕掛けにあるのです。
 
赤塚さんはこの仕掛けを
ワクワク社員が育つリーダーの4つの仕事として、
以下の4条件を教えてくれました。
 
1.想いを語る、できるだけ大きく語る!
国内全産業のうち最も離職率の高い飲食業界において
雇用の安定を図るうえで最も重要な策だと思いますが、
採用で妥協せず、自社の想い(ビジョン)に
共感してくれた人だけを採用することがまず大事だと言います。
赤塚さんは採用面接で思いを語り、
楽して稼ぎたいと思っている人は自社には合わないことを
はっきりと伝えているそうです。
日本一の飲食企業を目指す赤塚さんにとって、
「楽して稼ぎたい」と考える人はスタンスに違いがあるため、
「他社を選択した方がいい」と促すと言います。
 
この視点はとても大事で、
逆説的ではありますが、離職率を下げたければ、
自園と合わないと思われる人材、
少しでも疑問がある人材は採用しない
これだけやればいいということです。
 
自法人の目指すべきビジョンを
できるだけ大きく、かつ分かり易く語り、
そこに共感してくれる人をとにかく集め、
そして、違和感のない人を採用する。
 
これだけで、組織は劇的によくなります。
が、、、、これが実に難しいのです。
 
「需要」と「供給」のバランスで考えると、
採用市場は圧倒的な供給不足にあります。
そこへ、制度移行などによる保育需要の伸びが嵩んで、
”保育士”の求人倍率は今年の7月時点でも
3.78倍と依然として高い状態にありますので、
採用が本格化する秋~年末にかけて更に高くなるでしょう。
また、次年度の進退に関する意向表明なども
これから本格的に出てくるでしょうから、
その動向によって需給バランスへの影響も変わります。
 
採用市場で自園の優位性を保つためには、
①需要を増やす
②供給を減らす
この2つの方法があり、
②の方が圧倒的に取り組みやすく、結果も出やすいです。
 
既に一定の規模で運営している園にとって
この手法を受け入れるのは難しいことは重々承知したうえで、
受け入れ数を一時的に減らしてでも
②の方法を採られることをお勧めします。
 
現状、活力のある組織になっていないと感じている場合は
特に数を減らして組織の再構築を図った方が
5年後、10年後に備えた良い組織が出来上がります。
 
組織に活力が感じられない場合、
以下の図のいずれかに当てはまっているケースが多いのです。
 
image.png
 
ここから、安斎勇樹さんの著書「冒険する組織のつくりかた」
参照していきますが、経営に軍事メタファ(戦略・戦術・兵站など)が
導入されたのが1940年代ごろで、その後約80年をかけて主流として
成熟(=おおむね20世紀~2010年代まで)してきました。
近年はその限界が表出しており、「冒険的世界観」が台頭していると言います。
冒険的世界観はこれからの時代に必要な新たらパラダイムとして提示され、
2020年代、特にコロナ禍以降に価値観のシフトが顕在化したとされています。
 
「軍事的世界観」で運営される組織の限界は
ハラスメント(の厳罰強化)や退職代行の出現によって見て取れます。
では、「軍事的世界観」からどの世界観(文化)にシフトするのか、
実に悩ましいところです。
 
同書によると、軍事的世界観が肥大化すると
官僚的世界観へと発展し、ルールや序列に縛られた
硬直した組織になると言われます。
 
先に触れたハラスメント(の厳罰強化)や退職代行などの
所謂カウンター攻撃への恐れが強くなると今度は、
社員の居心地の良さづくりへ傾倒した家族的世界観へと向かい、
意欲の高い人が成長できない所謂「ゆるブラック化」した
組織へと変貌を遂げると言います。
 
ここまで紹介した”世界観”はどれも今の時代の組織運営において
望む結果に導くには遠い状況にあり、
時代の流れとともに変化する人々の労働観と組織に求める価値の変化を感じます。
 
これまで紹介した世界観とは対極に位置する冒険的世界観を簡単に説明すると、
それぞれ独立して存在する、”個人が目指すもの”と”組織が目指すもの”が合致し、
個人の目指すもの、組織の目指すものそれぞれの先に互いに目指すものがあり、
”利が一致しやすい”のが冒険的世界観で運営される組織の特徴のです。
なので、この世界観で運営される組織では、
「 こんなことにチャレンジしたい  !」や「頑張りたい!」
という探求心にあふれ、且つ個性が活かされる業務を
いかにマネジメント側の人がプロデュースできるかが重要です。
 
著者の安斎さんは冒険的世界観で運営される組織を
漫画「ワンピースの麦わら海賊団」のような組織、と比喩しているのですが、
リーダーは一つの役割で、全メンバーが役割をもっていて、
組織が達成すべき目標に向かってそれぞれがその役割を全うする組織、
これが冒険的世界観で運営される組織です。
 
求職者の立場で考えても、
大きな目標を掲げた組織があって、
全員が役割を持ちながらイキイキ目を輝かせながら働いていて、
アナタも自分の役割を見つけてこの組織のメンバー(仲間)として、
その大きな目標達成に向かってすすみませんか?しかも!
アナタ個人の目標も達成に近づきます!と、
訴求されたらとても魅力的に映りませんか?
 
さて、赤塚さんに話を戻しますと、
採用の入口で実施していることは、シンプルにこの世界観の伝達なのです。
ここに目を輝かせて共感してくれる求職者に絞って採用するので、
離職率は著しく低下し、成長意欲の高い人材が育つ仕組みができるのです。
 
GCLIPでも何度も経験していますが、無理して共感度の低い相手を採用すると、
かなりの確率で早期退職の憂き目に遭い、大変な状況に追い打ちをかけます。
そうならないための第一歩として、
大きな目標を掲げ、経営者のビジョンを語りましょう。
ここに共感した人物に絞って採用するための道筋をたてて
集中してマーケティング(相手に気持ちよく次の行動に移ってもらう)活動を
実施することで、自園にあった人の採用が実現します。
 
心ときめく相手と未来をつくる、
それが、冒険的世界観という海原の新時代経営という航海なのです。
 
入口をしっかり整備できれば、
あとは、経営者が思い描く組織づくりに向けてコミュニケーションを軸にし
組織づくり(チームビルディング)を丁寧にしていくことで、
理想のチーム作りは必ずできるはずです。
 
残りの3つはまたの機会にじっくりご説明しますが、
 
2.対話力をアップデートする
赤塚さんが定義する対話とは、
相手の悩みをなくし、モチベート(気持ちを上げ)して、楽しめる
心理面に環境整備をすることです。
マネジメントを「管理」と翻訳すると見えてこない本質ですが、
「不足を補うための整理」と訳すことで見えてくる
本質的な役割がここには表されています。
 
そのうえで「ストロークの法則」というものがあり、
心の中にある+(プラス)と-(マイナス)のストローク(自分への刺激)のうち、
マイナスを減らしてプラスを増やすためのコミュニケーションを
リーダーは心掛け、部下のいい状態を保つマネジメント(整理)をするのです。
 
こう考えると、対話による育成は、マイナスの指摘に傾倒しないことがわかります。
 
3.チーム作り
良いチームをつくるうえで赤塚さんが心掛けているのが、
「人はみな頼られたい」と思っているという心理をいかに満たすか?
という点をマネジメント(整理)すると強調されていました。
 
実にユニークなのが、新人には掃除や洗い物などの
「下積み的な仕事」を任せるのではなく、
ラテアートやピザの焼き場などの「花形ステージ」から始めさせ、
ちょっとでもできたことを見つけてほめるマネジメントを実践しているという点です。
これは相手の承認欲求を大いに満たし、
次のチャレンジをしてみたいという欲求を掻き立てます。
 
これではうまくいかないと思いますよね?
実際にうまくいかないそうです。何せ基本がなっていないのですから。
でも、赤塚さんのマネジメントはそのあたりも織込んで組み立てられています。
チャレンジ精神にかられ、成長意欲を高めた新人たちは、
自分の足りないところに自ら気づき、主体的に基礎練習に向かう言います。
大事なので、もう一度書きますね。
 
やる気に火が付いた新人は、花形で活躍するために自分の足りないところを
自ら認識し、基礎力を高めるための努力を自分の意志で行うようになるのです。
これが令和型のマネジメントの真骨頂だと思いました。
 
担任はやりたくありません。。。
行事の担当はちょっと…
主任とか責任のある仕事は…
 
よく耳にしますが、花形としての喜びや楽しさよりも、
大変さが前面に出てしまっていると若者に感じられているから
出てくる言葉なのかもしれない、と考えかたをかえてみると、
改善の道筋が見えてくるように思いませんか?
 
赤塚さんのチーム作りは、憧れや夢を育て、それを実現する実践の場になっています。
これは実に見事な仕組みで、
日本一の飲食経営者の視座は極めて高いものだと感心するばかりです。
 
 
4.リーダーシップ
最後にリーダーシップですが、極めて本質的な話をしてくれました。
リーダーシップの定義は「チームを引っ張り目標を達成させる力」です。
これを赤塚さんは、
「みんなが行きたくないところへ導いて感謝される人」と定義しています。
 
どういうこと?かというと、
行きたいところへ連れて行けば誰でも感謝されます。
ところが、経営とは個々人が行きたいところではなく、
組織が本来向かうべきところですから、
何故そんなところに向かわなければいけないのか?と思う人も
中には(ほとんどの人かもしれません?)いるわけです。
その人たちがそこへ行ってもいいかな?行ってみたいな!
と思う気持ちをまず作り、幾多の困難を乗り越えて
そこへたどり着いたときに、本当この組織(チーム)に入ってよかった!
この仲間と出会えてよかった!と思わせることができたら、
そのリーダーは感謝されます。
 
これをするのがリーダーシップなのです。
 
だから、甘さを見過ごさず正しい方へマネジメント(整理)することは
とても大事なリーダーの仕事だと言います。
また嫌いなもの、嫌いな人をつくらないことも
リーダーの重要な仕事だといいます。
シンプルに好き嫌いで判断するリーダーを人は信用しないからです
 
 
赤塚元気流ワクワク社員が育つリーダーの4つの仕事は、
いかがでしたでしょうか?
 
ほぼすべてが就学前教育・保育施設の経営者や経営幹部、リーダーの皆様に
置き換えていただいてそのまま実践できる内容だと思います。
時代が変わったから‥‥
昔はよかったのに‥‥
あと10年若ければなぁ‥‥こう思う気持ちもわかります。
しかし、これらは自分のチカラでコントロールできる範囲ではありませんので、
できることから地道にやっていきましょう。
 
私はいま制度によって横一列に並んでいるこの状態を
チャンスだととらえるようにしています。
これをやってくださいというガイドが行政から送られてきて、その通りに進める。
多様性、主体性が叫ばれる時代にシステムが横並びというのが
何とも奇妙なパラドクスとして映るので、
ちょっと基本的にルールにのっとりつつも、
ちょっと工夫を凝らせばまったく違うものとして映る可能性があるのです。
 
赤塚さんは会の冒頭で創業当時のこんな話をしてくれました。
大学卒業後、すぐに店長になった赤塚さんは
店長を務める居酒屋の現場から総スカンを食らっていたそうです。
誰よりも早く来て、誰よりも遅く帰る、
これがリーダーの仕事だという父の教えを実践するために、
7時に出勤して翌朝3時に退勤することで「気もち」を現場に示しました。
7時に来ても2時間くらいで掃除などの開店準備作業は終了するので、
時間を持て余していた赤塚さんは自分にできることを考えたそうです。
 
行きついたのが集客。
 
駅前でチラシをまくことにしましたが誰も手に取ってくれません。
そこで赤塚さんは考えます、どうやったら興味を持ってもらえるか?を。
出た答えが「右脳クイズを配る」です。
 
通勤中の空き時間でクイズにチャレンジしてもらうのです。
でも答えはすぐには手に入りません。
なにせ、翌日配布の「右脳クイズ」に前日の答えが書いてあるのですから。
また次の日も赤塚さんのもとには答えの書いたチラシを求めて人が集まります。
これを繰り返し行ったそうです。
驚くことに、本来チラシとして配布していた「右脳クイズ」には
居酒屋の情報は一切載せなかったと言います。
 
来る日も来る日も「”元気”な挨拶」と「右脳クイズ」を配る赤塚さんのもとに
いつしか通行人から「お兄さん何やってる人なの?」「お店どこなの?」
と聞かれるようになり、お店に人が集うようになります。
 
そうなると、お店のスタッフが、赤塚さんはいったい何をやっているのか気になります。
朝の駅前に次第にスタッフも集うようになり、”チラシ”を配る仲間が増えていき、
お店の売り上げも爆発的に上がっていったのです。
 
いかがでしょう?
こうして赤塚さんのチーム作りの伝説は始まったのだと思うと
まだまだできることはたくさんあると思いますし、
リーダーの原点に立ち返って、チームを率いてみたいという衝動に私は駆られました。
 
ピンチはチャンスです。
どんなチャンスかというと、変わるチャンスなんだと心底思います
 
就学前教育・保育の世界は厳しさを増しますが、
チャンスととらえて是非前に進んでまいりましょう!