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【3回安定の法則を活用した今からできる園児募集】

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3回安定の法則を活用した今からできる園児募集
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<本文のポイント>
・3回安定、10回固定の法則とは?
・認知→お試し→比較→安心の作り方
・1号と2・3号へのマーケティングの違い

1号では満3歳児の受け入れが全盛となり、
入園のタイミングが早期化したり、
2号・3号児の受入れ比率が高くなるにつれ、
園児募集のタイミングがぼんやりとします。

時代の流れですから致し方ない部分はあれど、
私立幼稚園や幼稚園由来の認こ園にとってはやはり
園児募集(夏から秋にかけての園児募集活動)には
長年培ってきたノウハウがありますから、
自園の募集のタイミングと勘所を抑えて
手応えのある募集活動をしたいところです。

古典的なマーケティング手法ですが、
「3回安定、10回固定の法則」というものがあります。

文字通り、3回来た顧客は安定客となり、
10回来た顧客は固定客化するというルールです。

もう少し詳しく説明すると、
3回安定とは信頼関係の構築段階にあります。

具体的には同じサービス・商品等を3回利用することで
心理的な安心感と信頼が次のように生まれると言われます。

1回目:お試し(一度行ってみようか…というレベル:再訪率20%)
2回目:比較(悪くはないが他と検討したい…というレベル:再訪率50%)
3回目:安心(ここなら大丈夫!というレベル:再訪率70%超)

これによって安定した利用意向が形成されるプロセスで、
3回訪れた顧客はリピーターになる可能性が高くなります。

一方、10回固定とは習慣化・ファン化を指します。

10回以上繰り返すと、その行動が「習慣」になり、
無意識にその行動を選ぶ心理状態になるため、
他に乗り換える理由がない限り、自然と選び続ける状態です。
顧客ロイヤリティが非常に高い“コアなファン”を指します。

さてこの法則を、今からできる今年の募集活動に置き換えてみましょう。
※前提としては、園児募集活動は”通年”で取り組むべきものです。

肌感覚ですが、幼保連携型認こ園数が幼稚園数を抜いた2018年、
そして、幼児教育・保育の無償化が実現した2019年付近から
一気にそれまでと園児募集のやり方は変わり通年化したように思います。

1号と2・3号では募集の仕方がまず違います。
また、1号もエリアによりますが、
満3歳児と3歳児の募集の仕方は違ってきます。

まず2・3号に関しては「個別見学」への誘導が有効です。
育児等支援が充実し就労形態が個別化されている時代は、
日時を指定し一同に会して多くの参加を促すより、
できるだけ多くの対応日を用意し、
個別に見学対応することで相手の知りたいこと、
観たいものなどのニーズに的確に対応できる体制を整えて、
ミスマッチの少ない情報提供を心掛けたいところです。

最初の接点が個別見学の場合、2回目の接点をどこに置くかは、
園の状況によって変わってくる部分ではありますが、
できれば「体験の場」を用意して1日の流れ(主に教育時間)を
ハイライトで体験してもらうのがよいでしょう。

しかも、1回目と2回目の間を長く置かずに体験してもらうことで
見学の際に感じたことと、体験で感じたことへの差異にリアリティが生まれます。
(マイナスになる場合もあるので注意が必要…)

百聞は一見に如かずですので、体験によって良いイメージが高まれば、
そのイメージの持続性は自ずと高まります。

3回目として説明会に参加してもらい、
自園の教育・保育の活動の狙いや子どもの成長にどのように寄与していくのか?
という園としての考え方やスタンスを提示します。

幼児教育に限りませんが、教育や保育内容の基本となるところは
指導要領や保育指針によってきめられています。

そのため、活動内容を際立たせて明確に差別化を図るということが
とても難しいのが”教育業”の特徴ともいえます。

では、どこで差別化を図るのかというと、
経営者の思想が明確に現れる、「狙い」と「背景」に絞ることが有効です。

2・3号で入園する層に対しては、
このように3回それぞれの目的を明確にして、
近隣の対象家庭や、自園の教育・保育に興味を持った家庭を
集客することができれば募集結果に影響を及ぼす活動を
今からでも実行することが可能です。

1号認定児も基本的に今からできることは限られています。
特に園児募集の8割が満3歳児入園でどこかの園に所属している
エリアにおいて募集活動を展開していくのは難しいのが現実です。
しかし、やり方はいくつかあります。

今回は①イベント集客 ②進路相談会 ③教育体験型説明会
という流れを紹介します。

1号児は次年度から本格実施の決定しているこども誰でも通園制度の
対象者になります。現在急ピッチで需要調査が行われていると思いますが、
そこにいる1歳児(次年度)と2歳児(本年度)が対象になります。
これら対象家庭に向けてイベントを企画して集客を図ります。

今年の夏も猛暑が予想されていますので、
熱中症対策を十分にしたうえで、水遊び系のイベントは集客力があります。
良かったら、園むすびTOOLBOXからイベントの企画とツールを
ダウンロードして使ってみてください。

ここで集まった名簿に対して「進路相談会」として
満3歳児での園の活用方法、年少入園からの幼稚園の活用方法、
また保育認定で通う園の活用方法などいくつかの選択肢を提案し、
情報を与えて、それぞれの特徴(メリット・デメリット)を
各家庭の状況に応じて分かり易く説明する相談会とすれば、
一定の需要を見込むことが可能となります。

※うちは幼稚園なので保育認定は無理だ…とあきらめないでください。

新2号認定児は実質2号認定児ですので、自園の預かりが
他園のそれよりも魅力的であれば十分な提案を行うことができます。

この相談会は自園を相手に売り込むためのものではありますが、
売り込みのみに傾倒しないことがとても大事です。
どちらかというと、相手の就労含め状況を確認し、
趣向をとらえることで、「適切な提案」をすることを心掛けてください。

場合によっては他園を積極的に紹介することで、
相手にとってベストな選択になることもあります。

「進路相談会」は子育て支援のいちコンテンツという感覚
実施するのがお勧めです。
このスタンスでやることで結果的に自園への入園希望者が増えます。

それともう一つ、進路相談会ですので、相手の嗜好性がわかります。
この時点で断るべき人がわかるというのは、
結果的に入園後のミスマッチを著しく低下させることができるので、
将来園内で起こり得るマイナスを未然に防ぐことに貢献します。

このようにしてご縁を育んだミスマッチの少ない人たちを対象に
教育体験型の説明会を実施することで「安心」を提供することができます。

ポイントは、教育(活動)を体験し、
その活動の導入背景や活動の狙いをきちんと説明することで納得度が増します。

2回接触している相手は、比較検討のフェイズを経て、
3回目の「安心」を求めている人達ですから、
活動を体験し、かつその背景にある狙いやビジョンを聞くことで安心感は増します。

現在2019年(無償化実施)以降の園児数を追っていますが、
受入れ体制が3歳以降入園に限定されている園の園児数の減少が際立ちます。
時代の流れですからある意味では仕方がない側面もありますが、
本当に伝えるべきことが伝わらず認知してもらえないケースも少なくありません。

そんな中でもしっかり集まっている園があるのも事実です。
集まる園とそうでない園の違いは、伝わるように伝えているか否かです。
広報活動、つまり、正しく発信してどんなことを実現する園なのか?
知ってもらうための活動をもっと積極的にしてほしいと思います。

限られた時間ですが、今からできることにしっかり取り組んでいきましょう!