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【処遇改善等加算一本化の方向性】

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処遇改善等加算一本化の方向性
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・処遇改善等加算一本化の方向性が示されている
・処遇改善等加算Ⅰ~Ⅲという形ではなく、
 処遇改善等加算として一本化し、その中で区分1~3
 という区分分けが行われる方向性になっている
・現在の処遇改善等加算ⅡのA、Bの算定人数分の
 研修修了者が求められる方向性が示されている
・処遇改善等加算Ⅰの基礎分についても
 確認をするという方向性が示されている
 
 
12月19日のこども家庭庁内の会議にて、
処遇改善等加算一本化の方向性が示されました。
 
来年度は2015年の子ども子育て支援新制度開始から10年が経ち、
5年に1度の公定価格の見直しの年ということで、
様々な変更が行われる可能性があります。
 
その中でも大きな動きの一つである
処遇改善等加算一本化がどういった方向性になるか、
施設型給付園については注目されていることと思います。
 
以下に12月19日に発表された内容について
ポイントをまとめてお伝えさせていただきます。
 
・区分という考え方に変更される
現在、処遇改善等加算はⅠ、Ⅱ、Ⅲと三つに分かれていますが、
これらを一つにまとめ、区分1(基礎分)、区分2(賃金改善分)
区分3(質の向上分)となります。
以前にこのメルマガでもご紹介させていただいた、
介護業界の処遇改善等加算一本化のイメージに近く、
区分ごとに要件が設定されるような形になっています。
 
・現在の処遇改善は区分のどこにあたるのか
現在の処遇改善等加算Ⅰ、Ⅱ、Ⅲは
前述の区分1(基礎分)、区分2(賃金改善要件分)、
区分3(質の向上分)のどこにあたるのでしょうか。
一見するとそのまま区分1が処遇改善等加算Ⅰ、
区分2が処遇改善等加算Ⅱ、・・・
という捉え方になりそうですが、そうではありません。
 
まとめると以下となります。
 
【区分1(基礎分)】
→処遇改善等加算Ⅰの基礎分とキャリアパス要件分
 
【区分2(賃金改善分)】
→処遇改善等加算Ⅰの賃金改善要件分と処遇改善等加算Ⅲ
 
【区分3(質の改善分)】
→処遇改善等加算Ⅱ
 
上記内容をまとめると以下のようなイメージになります。
一本化画像①.png
※こども家庭庁資料から抜粋
 
一つずつ説明していきます。
 
●区分1について
区分1は基礎分となっており、
現在の処遇改善等加算Ⅰの基礎分とキャリアパス要件分が該当します。
現在の方向性では区分1を得ることができる要件として、
職位や職責などに応じた昇給の仕組み、
研修の計画、職場環境の改善を行うことを要件にするのはどうか、
ということになっています。
この要件については具体的な内容が出されていないものの、
1年間の猶予期間を設けるとしていることから
それなりの職場環境の改善が求められるようになると予想されます
 
●区分2について
区分2は賃金改善要件を目的としており、
処遇改善等加算Ⅰの賃金改善要件分と、
処遇改善等加算Ⅲを合体させるイメージです。
どちらも賃金改善をするという目的の処遇改善であることから
一つにまとめる方向で議論されています。
区分2の要件については詳しくは示されていませんが、
賞与や一時金での賃金改善ではなく、
月額での賃金改善を行うことが要件になることが予想されます。
 
●区分3について
区分3は現在の処遇改善等加算Ⅱが該当します。
質の向上を目的とした区分であることから
この区分については研修が要件となる方向になっています。
具体的には処遇改善等加算Ⅱの算定人数分研修を修了していることが
区分3の要件になる方向性が示されています。
 
実はこの変更は大きな変更であり、
現在の処遇改善等加算Ⅱでは4万円の改善を行う職員を1名とし、
そのほかの金額については5,000円~39,999円の中で
配分を行って良い、という仕組みであったことから、
「4万円の処遇改善ができる研修要件を1名のみクリアし、
その他は15時間の研修要件のクリアで配分をする」
ということができる仕組みになっていました。
 
しかし、今後は算定人数分、研修修了していることが要件になるため、
園全体として研修を積極的に行っていく必要があります。
 
質の向上が目的であることから要件が厳しくなった印象です。
 
また、処遇改善等加算Ⅱでは4万円の配分者については、
必ず1名いなければならないというルールでしたが、
このルールは廃止され、4万円以下において、
園の裁量で自由に配分できるようにする方向のようです。
 
区分3については上記内容をまとめると以下のようになります。
一本化画像②.png
※こども家庭庁資料から抜粋
 
それぞれの区分を見ていくと、
内容的には要件が厳しくなりそうな部分がありますので注意が必要です。
 
もう一つ、今回の一本化のポイントとして、
事務的な負担を軽減するということが大きな目的になっているため
各自治体に報告、提出する内容が変更されていますので、
それらのポイントを解説していきます。
 
〇加算額の総額と改善額が確認される
現在の処遇改善等加算の提出書類については、
処遇改善等加算Ⅰ~Ⅲのそれぞれで提出資料が設けられ、
一人ひとりの起点賃金水準と改善後の賃金を確認し、
賃金改善ができているかを確認しています。
 
この提出書類が現在の方向性ではかなりシンプルになり、
区分1、区分2、区分3を合わせた加算額の合計と、
賃金のうち、処遇改善にあたる部分の総額を
比較するという方向性が示されています。
 
例えば処遇改善額が500万円であった場合、
施設全体で500万円の処遇改善が行われているか、
というところを確認する、ということになるようです。
 
〇起点賃金水準は加算当年度の職員の前年度の支払賃金の総額
今まで起点賃金水準は勤務形態や職位、職責などによって
決められる賃金がベースとなっていましたが、
一本化後の起点賃金水準は、
「加算当年度の職員の前年度の支払賃金の総額」
ということになる方向になっています。
これは介護の業界と同じということですが、
前年度と当年度の支払賃金の総額が
下がっていないことを確認することになりますので、
今までのように勤務形態や職位、職責などの変化によって
給与が下がった場合であっても、
支払賃金の総額が下がっていないことを確認する
ということになる方向です。
 
園児数の減少などによって処遇改善ができないという場合には
条件をクリアすることで起点賃金水準を下げることができる
ということになってはいますが、
実質的に支払賃金の総額は下げないということがベースになりそうです。
 
〇処遇改善等加算Ⅰの基礎分についても確認を行う
今回の一本化に伴い、処遇改善等加算Ⅰの基礎分についても
確認を行っていくという方向性が示されています。
この基礎分は今まで園の裁量によって定期昇給に充てる
ということのみになっていましたので、
各自治体に報告をする必要のない部分でした。
この基礎分について確認を行うということになっていますので、
将来的には基礎分自体が定期昇給に充てられているかを
確認するようになる可能性は十分に考えられます。
 
 
上記内容をまとめると以下の表になります。
一本化画像③.png
※こども家庭庁資料から抜粋
 
 
現時点で特に押さえておきたいポイントとして、
まとめると以下となります。
※現在は方向であるため、今後の動向によっては変化する可能性があります。
 
■職位や職責などに応じた給与規定等、
  職場環境の改善を進めることが求められる
■研修要件について、現在の処遇改善等加算ⅡのA、Bの
  算定人数分の研修修了者が必要になる方向性が示されている
■起点賃金水準の考え方が加算当年度の職員の
  前年度の支払賃金の総額になる方向性が示されている
■処遇改善等加算Ⅰの基礎分についても
  確認を行うという方向性が示されている
 
特に現在の処遇改善等加算ⅡのA、Bの算定人数分の
研修修了者が必要となることについては、
もしかすると猶予期間などが設けられる可能性がありますが、
いずれにしてもできるだけ早く取り組んでおくことをお勧めします
 
 
来年度は処遇改善等加算一本化だけではなく、
公定価格の見直しのタイミングでもありますので、
今後の制度の動向を注視していきたいところです。
 
GCLIPとしましても、できるだけ早く情報をキャッチし、
皆様にお届けできるようにしてまいります。