DIARY

【給与テーブルや評価制度をつくるにあたって】

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給与テーブルや評価制度をつくるにあたって
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・処遇改善等加算の一本化に向けて、改めて給与テーブルや
 評価制度を構築したいという法人が増えている
・評価制度がうまく運用できない要因は、
 「人事評価は公平であるべき」という認識
・うまく運用していくために、「法人の目的や目標の共有」、
 「評価は人がする」という事実を法人全体で共有しておくことが重要

2025年度に向けて、処遇改善等加算を
一本化していこうという流れがあります。

内容が変化していくことが予想されますが、
現在の処遇改善等加算はとても複雑で、
申請書類を作成するにあたり、
多くの法人が苦戦しているところを見ると、
一本化によってわかりやすく整理される
ということであればとても良い方向だと思います。

最近では処遇改善等加算の関係で、
給与テーブルの作成をどうしていくべきか
というお話をいただくことが多くなっています。

その中で、給与テーブルを整えていくことは
評価をどのように行っていくのかというところにも繋がっていく
ということを実感しています。

また、どんなに良い評価制度を作ったとしても、
なかなかうまく運用ができていない
というお話を伺うことがあります。

なぜ、うまく運用ができないのかということを
労務関係に強い方々にヒアリングすると、

実は「人事評価は公平にされるべき」

という認識が原因となり、うまく運用ができていない
というケースが多いようです。

こういったケースの話をすると
そもそも評価制度は公平に評価をするために作るものではないのか
という話がよく挙がるそうですが、実はそうではない
ようです。

そもそも評価制度は法人の目的や、
経営者の方が実現したい想いを元に、
それに必要な人材の資質や能力を元に作成していきます。

そのため公平ということではなく、
結果的には法人や経営者の方の想いに沿った人が
評価される
ことになります。

また、そもそも人事評価は先輩や経営者の方々が行いますが、
「人」が評価をするということがベースにあります。

今後AIなどが発達し、評価を機械に任せる
という可能性はあるかもしれませんが、
現在のところ、多くの法人で採用されている評価方法は「人」が行うものです。
そのためどうしても人の感情によって
大きく評価が変わる
ということが発生します。

人事評価は
①法人や経営者が目指したい姿を元に作られる
②基本的に人が評価をする

という二つのことは評価制度の運用を
効果的に進めていくためにもとても大切な要素です。

そして特に重要なことは、この二つの要素を
きちんと法人内で共有できているかどうか
です。

法人内のメンバーがこのことを理解していない場合、
法人の目指すべき方向性とは異なる努力をし、
評価されないということを嘆いてしまったり、
仕事だけができれば良いと勘違いし、
基本的な挨拶やコミュニケーションなどを
蔑ろにしてしまう、ということがあるのです。

そのため以下の内容を共有しておく必要があります。

まず一つは法人には目指すべき姿や、目的があり、
その方向性を理解し、仕事をしたり、
努力をすることが重要である
ということです。

野球で活躍したいと思っているのに、
サッカーの練習をしても上手にはなりません。

どんなに足が速い人でも、ゴールと違う方向に走れば、
評価されることはありません。

個々人の努力を意味のあるものにしていくためにも、
まず自分たちには目指すべき姿や目的がある
という認識を法人全体で共有しておくこと
はとても重要です。

二つ目に評価には2種類あるということを伝えていく必要があります。

それは「仕事評価」と「期待評価」です。

仕事評価とは文字通り、仕事の成果や質に対しての評価であり、
仕事一つ一つに対して評価されるものになります。

期待評価とは、その人への信用や信頼による評価です。
これは過去の仕事の実績のほかに、仕事への取り組む姿勢など、
人間性の部分が評価される傾向にあります。

期待評価は仕事評価のように一つ一つの仕事に対して評価されるわけではなく、
信用の貯蓄によって継続的に評価されるものです。

要するに仕事だけできる人間になるのではなく、
誰からも信用、信頼される人間になるための行動を取ることも
評価されるためには重要であるということです。

評価は人が行いますので、評価する人の好みや、
評価の対象者との関係性
なども関係していきます。

これが期待評価の部分です。

評価制度をうまく運用していくためには、
評価制度を作って終わりにするのではなく、
そもそも評価制度とはどういうものなのか
ということをきちんと説明していく必要がある
ようです。

給与テーブルの作成、評価制度の構築など、
これから進めていく法人様も多いのではないかと思いますが、
ぜひ同時に法人内に目的や目標の共有、そして、
評価についての考え方の共有をしていただければと思います。