DIARY

【不適切にもほどがある!】

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不適切にもほどがある!
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「何してんだよこのタコ!」
「練習中に水を飲むとバテるんだよ!」
「連帯責任!全員ケツバット!」
 
 
昨今のテレビにおいて、こういった言動が飛ぶことは、
なかなか想像が出来ないものですが、
今期のドラマ「不適切にもほどがある」には、
こういった言葉がたくさん出てきます。
 
宮藤官九郎さんの手がけるドラマは
いつもユニークで、考えさせられるものが多く、
最近では「ゆとりですがなにか」も
代表的なドラマとして挙げられます。
 
「こういうのあったな~」
「こういう人いるいる!」
といったことを感じるシーンがたくさんあります。
 
世代研究がかなりされており、
昭和世代、令和世代のどちらにも
考えさせられる内容になっていると思います。
 
 
すでに第二話が放送されていますが、
今回はまだご覧になっていない方もいらっしゃると思いますので、
第一話のお話をベースに少しご紹介したいと思います。
 
 
「不適切にもほどがある」は、
昭和61年(1986年)に教師をやっている男が
令和6年(2024年)にタイムスリップするという
とってもシンプルな内容です。
しかしこのタイムスリップする男が、
「地獄の小川」と恐れられている学校の体育教師であり、
その言動や行動が「ザ・昭和」という雰囲気を出していて、
とても面白く、懐かしい気持ちにさせてくれます。
 
ちなみに物語の冒頭で以下のようなテロップが出ます。
 
「この作品には、不適切な台詞や喫煙シーンが含まれていますが、
時代による言語表現や文化・風俗の変遷を描く本ドラマの特性に鑑み、
1986年当時の表現をあえて使用して放送します」
 
 
 
さてタイムスリップしてしまうこの教師は野球部の顧問をしており
冒頭のような言葉を当たり前のように生徒に発しています。
 
「何やってんだよタコ!」
「水を飲むとバテるんだよ!」
「連帯責任!ケツバット!」
 
このうち「タコ」と「水を飲むとバテる」は定番で、
私も野球をやっているときは愛情と受け取り、
こういった言葉をたくさん浴びてきました(笑)
 
最後のケツバットについては経験していませんが、
ノーエラーノックというものがあり、
一人がエラーをするとその瞬間に連帯責任ということで、
グランドをダッシュで1周しなければならない、
というものがありました。
 
エラーをしてしまったらずっと終わらないということで、
そのプレッシャーで手や足が震えたり、
エラーをしてしまったときの申し訳ない気持ちは
今でも鮮明に覚えています。
 
 
 
話をドラマに戻しますが、
第一話の中で印象に残っているシーンがあります。
 
ある会社員が会社を休んでいる後輩からハラスメントを訴えられており、
その内容について食事をしながら人事部と話をする場面です。
 
この会社員は以下のような内容を
後輩の社員に伝えていました。
 
①【期待してるから頑張ってね!】

②【(スマホのフリック入力を見て)早いね。さすがZ世代】


③【カガちゃん(後輩)を嫁さんにする男は幸せだね】
 
 
いかがでしょうか?
 
期待しているから頑張ってね、というのは
正直、私も言っているのではないかと
ハッとさせられる内容でした。
 
 
各内容について、人事部から解説が入ります。
 
①プレゼン直前にプレッシャーをかけられたというパワハラ。

②世代でくくるのはエイジハラスメント。
 
③バーベキューの時に動かない他の女子社員が、
まるで気が利かないみたいな空気になってしまったというセクハラ
 
そして、最後に以下のように説明されます。
「君がどんなつもりでも相手が不快になったら、それはもう“ハラ“なんだよ」


 
このやり取りを主人公の小川は聞いていて、
人事部に向かって話をし始めます。
 
<小川>
「頑張れって言われたら、会社一か月休んでもいい時代なんだ…。
頑張れって言われて会社休んじゃう部下が同情されてさ、
頑張れって言った彼が責められるって、
何か間違ってないかい?だったら彼は何て言えばよかったの?」
 
<人事部>
「何も言わなきゃ良かったんです。何も言わずに見守って、
うまく行ったらプレッシャーを感じない程度に褒めてあげる…。
ミスしても決して責めない。寄り添って、
一緒に原因を考えてあげれば彼女の心は折れなかった…」
 
<小川>
「何だよ寄り添うって、ムツゴロウかよ。
そんなんだから時給上がんねーし、景気悪いんじゃねーの?
挙げ句の果てにロボットに仕事取られてさ。
こんな未来のために、こんな時代にするために
俺たち頑張って働いてるわけじゃねえよ!
期待して、期待に応えてさ、叱られて励まされて頑張って、
そうやって関わり合って強くなるのが人間じゃねえの?
頑張れって言われてくじけちゃうようじゃ、
どっちみち続かねぇよ」
 
 
このやり取りの後、なぜかミュージカル調になり、
以下のような内容が流れます。
 
「だから話し合いましょう〜」
「だけど正しいことが正しいとは限らないわ〜」
「それが組織」
「どんな正義もふりかざしたら圧になる〜」

「多様な価値観が認められる社会。

だったら幸せだって叫ぶ俺の価値観も認めてくれよ!
それが本当の多様性」

 
人事部の言うことも、主人公の言うことも、
どちらも理解できます。
 
そのどちらも理解できることを上手にまとめたのが、
最後のミュージカルの部分ですが、
多様性という言葉を正義として振りかざすことも
偏っているのではないかというメッセージも含まれており、
私はとても面白いと思いました。
 
 
 
GCLIPではマーケティングの定義を
「相手を気持ちよく次の行動に移すこと」としています。
この定義にはマーケティングを進める上では、
相手のことをよく知ることが大切だということが含まれています。
 
そのように考えますと、
世代間で大きなギャップがあると言われる時代ですので、
このドラマは世代を理解するという視点でも面白いと思います。
 
また、何よりも昭和世代も、令和世代も、
自分の言動や行動について振り返るうえで、
良い機会になるのではないかと感じます。
 
個人的には令和の時代に昭和の男がどういった活躍を見せるのか、
今後のドラマの展開も楽しみです。
 
 
ぜひ皆さんも一度ご覧になってみてください。