DIARY

【新しい保育イニシアチブ2023】

・量から質となり、待機児童対策として国主導で進めてきた保育施設の新設は
 今後は各地自治体が中心となり進めていく
・1歳児、4歳児、5歳児の人員配置の改善を進めていく
・こども誰でも通園制度は国として推進していく
・各自治体ごとに反応は異なるが、国としては保育施設等の多機能化を進めていく
 
 
 
9月10日(日)に新しい保育イニシアチブ2023が開催されました。
 
9月10日時点ではこども政策担当大臣であった小倉議員や、こども家庭庁の課長が登壇しているほか、
大学教授、認可保育所の経営者の方、保育関連の事業者の方など、
様々な方が登壇し、これからの保育について語り合うというイベントです。
 
新制度開始によって幼保の垣根が低くなり、
保育業界の動向は、幼稚園業界にも大きく影響を与えています。
また、誕生したばかりのこども家庭庁の話があるということで、
GCLIPでは、社内全員でこのイベントに参加しました。
 
 
その中からいくつかピックアップをし、
情報共有とこれからの影響などについて考えたいと思います。
 
 
・量から質へ
初めに当時こども政策担当大臣であった小倉議員が登壇されましたが、
保育は「量から質」へ移行していくという話をされていました。
 
これは最近ではよく言われることではありますが、
この話の流れの中で、
「今までは待機児童対策として、ある程度は国主導で保育所の新設を進めてきたが、
今後は各自治体の判断によって地域に合った形で運用をしてもらう
という旨の話がありました。
 
各自治体は現在2025年からスタートする
「第三期子ども子育て支援計画」の策定中です。
 
保育所や認定こども園への施設整備に関する移行は
現在でも各自治体の判断によって、行われている傾向にありますが、
2025年の計画以降については各自治体の判断がより強くなり、
移行の必要性や新設の必要性について、
さらに厳しく議論される可能性があると言えます。
 
一方で、後述するこども誰でも通園制度や、
東京や大阪市でも行われる予定である0歳児から2歳児の第二子無償化などによって、
低年齢児のニーズはさらに高まる可能性があるため、
そのあたりを踏まえて各自治体がどのように計画を立てるか
ということが一つのポイントになると思います。
 
例えば大阪市では一時預かりの幼稚園型Ⅱを令和7年度から行う
という予定になっているようですが、
これも低年齢児のニーズ拡大への準備かもしれません。
 
また、「量から質へ」ということで言えば、
人員配置の改善については強く話がありました。
 
1歳児、4歳児、5歳児の人員配置の改善を
確実に進めていくという話をしていましたので、
近いうちに実現していくと予想されます。
 
 
・こども誰でも通園制度について
小倉議員の話だけではなく、今回のイベント全体を通して、
こども誰でも通園制度は一つの大きなテーマになっていました。
 
こども誰でも通園制度について、
小倉議員や品川区長、NPO法人フローレンスの駒崎さんの話では、
就労していないご家庭の預かりのニーズはもちろんのこと、
週1回から2回、定期的に預かるのはこどもの育ちにも良いということで、
積極的に行っていくべきだという提言がされていました。
 
これは幼稚園が昔からやっている未就園児教室と同じで、
特に母子分離の教室を運営されている園については、
特に驚くことではないのではないかと思います。
 
方向性としては、こども誰でも通園制度自体は、
やはり保育所に就労していないご家庭を預かる機能をつけるということは、
法律上困難な部分があるということから法律の改正も必要になるようです。
 
そのためしばらくは今年度も行われているモデル事業を増やしてい
ということで進めていくようです。
いずれにしても近いうちに法制度化される方向です。
 
モデル事業については先日お伺いした園では、
すでに自治体からモデル事業を行う予定があるかどうかのアンケートが届いていましたので、
行いたいという法人についてはタイミングを見て自治体と話をしても良いと思います。
 
いずれにしてもこども誰でも通園制度が始まることで、
より低年齢で幼稚園や認定こども園、保育所を活用するご家庭が増えると予想されますので、
0歳児から1歳児での自園の認知度向上はさらに重要性が増すでしょう。
 
 
・多機能化について
今回の保育イニシアチブ全体を通して、
多機能化についても一つの大きなテーマでした。
 
こども家庭庁としても保育所の多機能化について
最近出されている通知からかなり積極的に取り組んでいく姿勢があることがわかります。
 
前述のこども誰でも通園制度もその一つであり、
そのほかにも児童発達支援センターや、こども食堂、
病児保育や、学童保育、中高生の職場体験の場など、
様々な機能を持つことが考えられます。
 
児童発達支援センターやこども食堂などは、
保育所内での展開がルール上難しいということがありましたが、
それらについてこども家庭庁が各種通知を出しながら、
多機能化を推進していくという流れになってきています。
 
 
多機能化というのはどういうことかと考えると、
私は地域に密着し、地域に寄り添い、
地域に必要とされる運営をすることが大切だということだと捉えています。
 
今後ますます地域の子育ての拠点としての役割が重要となり、
地域の様々な課題に積極的に取り組んでいくことが期待されているということです。
 
各自治体によって温度差はあると思いますので、
もし多機能化を進めていきたいということであれば、
自治体とのコミュニケーションは重要になります。
 
 
施設型給付の制度は、定員設定や人員配置、加算など、
制度を十分に生かすために効率的な運営を目指す傾向があります。
しかし、それが本当に地域のためになっているのか、
ということをしっかりと考えていく必要があるように思います。
 
地域によってマーケットの状況が異なりますので、
地域に合った方向性をしっかりと模索していきましょう。
 
 
 
まずは質の向上、そして多機能化、
ということが国の方向性であるということを強く感じるイベントでした。
 
様々な選択肢があるからこそ、
自園の状況と地域に合った戦略を選択できるように
情報をしっかりとキャッチしていくことが重要です。
 
今後こども家庭庁から様々な通知が発信されると思いますので、
ぜひ注目してみてください。