DIARY

【2023年園児募集に向けて今できること】

2021年の出生数が81万1604人で確定しました。
国の推計より6年早く81万人台になっているそうです。
日本の総人口も11年連続減少していて、
今後増加に転じる見込みも今のところありません。
 
 
自治体単位でみる園児募集も、
3歳児の入園が1割~2割程度落ち込んでいる地域も増えていて、
今後深刻な”募集難”に直面する幼稚園が
ますます増加していくことが予想されます。
 
主たる要因は出生数の減少ですが、
もうひとつの要因が受け入れ施設の増加です。
 
2015年以降の幼児教育保育施設数推移から見てみましょう。
 
 
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幼稚園を除く全てが右肩上がりで施設数を増やしています。
保育所と認定こども園ですから2号児、3号児の受け入れ施設が増えています。
グラフでは幼稚園が2000件程度減少していますので‟なくなっている”ように見えますが、
実際のところ私立幼稚園で廃園している園は少なく、
殆どが制度移行して幼稚園型もしくは幼保連携型認定こども園になっています。
 
各園の定員設定状況によりますが、
幼保マーケットにおいて3歳以下の低年齢児を在園児として受入れられる機能を持つ施設が
2015年以降増加しているという事実を見過すことは出来ません
 
 
そこで今回のメルマガでは、
改めて今の時代の園児募集のトレンドをおさらいしていきたいと思います。
 
幼稚園の園児募集において強化すべきは、唯一4年保育です。
預かり機能や給食などサービス面の強化は整っているという前提です。)
人口が減少していますから、
同学年の子どもを多く集めるのではなく、異学年で募集の幅を縦に伸ばす方法をとります。
例えばこれまで年少60人、年中70人、年長70人(計200人)の構成比だとしたら、
今後は200人÷4(学年)=50人/学年で定員を設定しなおすという感じです。
園の状況と受入人数設定にもよるのですが、
原則として認可定員を超えずに満3歳児の受け入れを強化するのが望ましいです。
 
 
ひとくちに4年保育の強化と言えども、やり方には工夫が必要です。
これまでどおり秋口に行われる入園説明会に照準を合わせて集客活動を行い、
満3歳入園の説明を計画してもそもそも対象者は集まりません
 
0-1歳児の子育て支援ないし、イベントによる集客(会員化)は
必須で、できる限り頻度高く接触できる状態をつくっておく必要があります。
この組織化についてはまた別の機会に詳しく説明することにします
 
 
今回は満3歳児の募集のやり方について以下の3つを説明します。
 
①満3歳児と満3歳児入園のメリットの理解
②体験機会の設定と促進
③月齢に応じた説明、入園の機会の設定
 
 
 
①満3歳児と満3歳児入園のメリットの理解
はじめに、”○歳児”というのは、業界用語です。
つまり、満3歳児という用語は専門用語で一般に馴染みがありませんので、
「満3歳児入園説明会」という広告を見ても
対象者には届かない、あるいはピンとこない可能性が高いです。
 
ですので、満3歳児入園の対象者は誰で、
満3歳児で入園するとどんなメリットがあるのか?
無償化の恩恵はどのタイミングで受けられるのか?
また、自園の満3歳児入園はどういう仕組みなのか?を詳しく説明する必要があります。
これは、Googleのクリック課金型広告やSNS広告を運用し、
専用ページを用いてインターネット上である程度理解してもらえるように整えて、
そこから相互にコミュニケーションできるよう、LINEなどに誘導するのが望ましいです。
 
【 パール幼稚園(東京都大田区)の満3歳児受入強化の認知活動例 】
 
 
②体験機会の設定と促進
LINEに誘導した相手は、満3歳児入園に興味を持っているので、
さらに相手が知りたいことを確認し、来園してもらうように促しましょう。
 
はじめての子どもで大きい集団になじめるか不安…
上の子の通っている園とは別のところに下の子を通わせたい…
早生まれでも満3歳で入園して大丈夫か…
 
など、相手の持つニーズは様々です。
HPの問い合わせフォームから突然来園申込をするよりは、
一度コミュニケーションを挟んだ方が相手も安心して足を運べます
 
体験又は見学で実際に足を運んでもらうことが重要です。
今年のデータですと満3歳児体験からの入園決定率は80%を超えます。
満3歳児入園は特に、全国で一般的になるまでは、
「相手がより理解できる状況を整えて入園を促進する」ことに
最も力を入れて広報から入園までの動線を整えるべきところです。
 
 
 
③月齢に応じた説明、入園の機会の設定
2歳児の4月生まれ(満36ヵ月)と3月生まれ(満24ヵ月)では
成長に大きな差があるのが一般的です。
ですので、入園のタイミングを前期・後期または、
学期ごとなどに分けて案内することで、入園のハードルはぐっと下がります。
前年度秋口に行う節女会をする4月一括入園の場合、
早生まれの子どもを持つ親は説明会に参加することもできず、
満3歳児入園の機会を逃すケースも少なくありません。
 
私学助成園の場合、できる限り4月生まれで補助金を得たいところです。
新制度園では誕生月から給付費の対象となり、給付金を満額受け取ることができるので、
前後期制、3学期制など受入れにゆとりを持つことも可能となります。
 
これが、先に触れた園の状況と受入人数設定によって判断が変わるというものです。
 
このように年間を通して受け入れをすることができると、
例えば、秋口の説明会では9月以降の年度内満3歳児入園対象者と次年度入園対象者の
両方に向けて説明会を開催することもできます。
さらに言えば、必要に応じて都度体験→ミニ説明会みたいな動きをとることもできます。
 
途中入園が前提となる満3歳児入園は、園側のスタンスで如何様にも受け入れを
コントロールすることができるので、力を入れれば入れただけ
園児募集で結実する可能性が高くなります。
 
 
以上、3点は今すぐにでも取り組めることですので、
満3歳児攻略のマーケティング戦術として是非ご活用ください。