DIARY

行列の絶えない店に学ぶブランド戦略

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 行列の絶えない店に学ぶブランド戦略
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<本文のポイント>
・続々展開している流行店「ランディーズドーナツ」
・商品、アパレルライン、HPから読み取る一貫した世界観
・就学前教育・保育施設における世界観の重要性
 

最近、都内を中心に急速に店舗を展開している
ドーナツ屋さんをご存じでしょうか?
アメリカ・ロサンゼルスで大人気の
ドーナツショップ 「ランディーズドーナツ」です。

ランディーズドーナツは、
1952 年にロサンゼルスで創業した老舗ドーナツブランドです。
アメリカ1号店の屋根上にそびえ立つ直径約10mの
巨大なドーナツ型サイン看板が古くから街のシンボルとなっており
人気映画やミュージックビデオにも登場するなど、
ロサンゼルスのランドマークとして広く知られています。

 

(出典:https://www.bc01.net/article/randysdonuts/)

ランディーズドーナツは2025年5月に日本に初上陸。
表参道の1号店を皮切りに、
新宿(2025年9月)、東京(2025年12月)と出店を拡大し、

来月3月には有楽町にもオープン予定です。
オープンから時間が経った店舗でも、
行列が絶えず、注目度の高さがうかがえます。

私も早速足を運び、実際に食べてみましたが
上にかかっているトッピング等はかなり甘く
日本人好みの繊細さはないのですが、
下のドーナツ生地はシンプルな味つけで、
ふわふわの揚げパンのようになっているので
どこか懐かしい味がします。

 

(出典:https://www.wwdjapan.com/articles/2111384)

ランディーズドーナツが大人気店舗になった背景にあるのは、
他のドーナツショップと大きく異なる“自社の世界観”の表現力あります。

例えば、下記3点において“世界観”へのこだわりが感じられます。
・アパレルラインも展開していること
・ドーナツは本国と全く同じ味・ラインナップを再現していること
・商品紹介よりも、ブランドイメージの訴求に重きを置いたHP

<アパレルラインの展開>
アメカジファッションを取り扱うセレクトショップとコラボして作っており、
ドーナツ屋さんでおまけ的に展開しているとは思えないほど
本格的なファッションアイテムを数多く出しています。




<ドーナツのラインナップについて>
多くの海外ブランドは、日本国内の出店において
甘さを抑えたり限定フレーバーを展開したりします。
しかしランディーズドーナツは、本国と全く同じラインナップを展開。

単に商品を売るのではなく、
大きくて、派手で、しっかりした甘さといった
アメリカの空気感そのものを体験させるものです。

日本人にとってはやや強めの甘さでも、そこを曖昧にしないところに
自社の世界観が貫かれています。

<ブランドイメージを伝えるHP>
ミスタードーナツのHPと比べて、
ブランドコンセプトを紹介するページがあることに
最も大きな違い
があります。
このブランドコンセプトのページでドーナツについて触れているの
ページの最下層、分量だと3分の1程度です。

 

ミスタードーナツのHPを見ると、
商品に対するこだわりやミスタードーナツの歴史などを
紹介するページはそれぞれ用意されています。
一方で、ブランドの世界観や
一貫したコンセプトを打ち出すページは見当たりません。

口コミやPR会社による宣伝では、
企業が伝えたい内容を完全にコントロールすることはできません。
一方、HPは、情報設計や表現内容を自由に調整することができる媒体です。
ランディーズドーナツは、HPを通じて「世界観」そのものを伝えており、
ブランドとして、顧客に何を体感してほしいのか、
その意図がHP構成から読み取れます。
会社の思いを、HPデザインを通して伝えていることが分かります。

まとめると、事業展開の仕方・打ち出し方ともに、
ランディーズドーナツは自社の「世界観」を重視していると言えるでしょう。

さて、興味深い流行店のブランド戦略ですが、
就学前教育・保育施設においても園の“世界観”の訴求は
マーケティングにおいて重要です。

例えば、子育て支援事業の目的が
「周りの保育園もやっているから」
「未就園児と早期から接触したいから」

という点にとどまっていないでしょうか。

もし、園の世界観を
「地域の子育てを応援する幼稚園」
と掲げているのであれば、
子育て支援事業が、未就園児向けの
月1回のイベント実施にとどまっている状態は、
園が大切にしている世界観と、展開している事業との間に
やや距離があるようにも見えます。

この世界観を実現していくには、
これから働くことも視野に入れているお母さんのために
一時預かり事業の体制を強化したり、
0歳児・1歳児・2歳児で年齢別にクラスを分け、
それぞれの発達段階や家庭のニーズに合わせた
内容を実施したりなどの取り組みも考えられます。

保育園は子育て支援への取り組みを義務付けられており、
さらに、こども誰でも通園制度が本格的に始まる中で、
その導入を進める園も増えています。
地域の人に選ばれる園を作るためには
保育園を含めた競合園との差別化が
これまで以上に重要になってきています。

そのためにも、
「自園で取り組む意味のある事業」とは何かを改めて考え、
園としての役割を再定義しながら
世界観を描きなおすタイミングに来ているかもしれません。

ぜひ、新年度に向けた視点として、取り入れてみてください。