DIARY

努力で届く世界、構造でしか越えられない世界

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努力で届く世界、構造でしか越えられない世界
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<本文のポイント>
・努力で伸ばせる領域と構造で仕組み化する領域
・成熟化が進んだ社会では努力だけでは超られない“壁”が存在する
・募集や採用、そして制度活用を構造化することの重要性
・施設型給付の事務の黒衣(くろこ)サービス説明会のご案内

<本文>
何事もある地点までは、努力によって順調に伸ばすことができます。

これは個人の成長でも、企業経営でも、
そして就学前教育・保育施設の運営においても
共通して言えることではないでしょうか。

特に新制度開始前後に顕著にみられましたが、
開園当初や改革初期の”努力”はそのまま成果に直結します。

園児募集に力を入れれば数字は伸びるし、
採用活動を強化すれば顕著に応募が増えました。
制度をしっかり学び、適応することで収入も伸びました。
努力と成果が比較的わかりやすく結びつく感じです。

しかし、ある規模に到達した瞬間から、
同じ努力を続けているのに成果が比例しなくなる瞬間があります。

「これだけやっているのに、なぜか伸びない」

そう感じたことはないでしょうか。
努力が足りないわけではありません。

むしろ多くのケースでは十分に努力をしています。
では、何が足りないのか。それが「構造(仕組み)」です。

努力は直線的な力で、構造は立体的な設計です。

直線は前にのみ進むチカラですが、
立体は面をつくり、厚みをつくることで、再現性を生みだす機能、
すなわち、仕組みとなります。

先週末にGCLIPが主催する園むすびという
勉強会(今年で2期目となる)の視察で
茨城県守谷市、龍ヶ崎市で5つの保育園を展開する
社会福祉法人山ゆり会さんにお邪魔しました。

理事長の松山先生の講演をお聞きして、
努力で乗り越える部分と、構造化した仕組みで対応する部分を
しっかり分離して考えること
で成果につながるのが
子ども子育て支援新制度下の園経営であることがよくわかりました

例えば、職員採用は「認知度向上」のフェイズと
「人気度向上」のフェイズに分解できます。
認知度向上はどちらかというと、努力が必要です。
松山先生は全国にあるすべての養成校に求人情報を送っていると言います。
正に、努力以外の何物でもありません。
ここまでしても求人票が学生の目に触れるのは、
ほんの一握りで、採用活動において直接的な有効打になるかというと、
そうではないようですが、1%の可能性にかけるわけです。
また、X(旧Twitter) やMeta社のSNSを活用し、
認知度(及び人気度)向上のための投稿を繰り返します。
実際に次年度の採用者の内2名は
松山先生のX経由で内定に至っているそうです。

これが努力です。

一方、実際に就職するケースのほとんどは、
既存職員からの紹介や卒園児の就職、卒園児保護者の就職など、
中を熟知した人たちからのリファラル(推奨)だと言います。
これは、働き手の組織エンゲージメントが高い証左ですが、
なぜこれほどまでに高いのか?と思い、話を聞き進めると、
やはりそこには納得度の高いキャリアパスの整備とフィードバック
「構造(仕組み)」として存在
していました。

とりわけ、キャリアケア面談というのが年間3回設けられ、
各施設の園長と回あたり30~45分の1on1面談が実施され、
各園、各スタッフの現状や将来像が把握できるよう
構造(仕組み)化
されています。
これに関しては、ウチは非公式だけどコミュニケーション
頻繁にとっている!という反論もきこえてきそうですが、
非公式なコミュニケーションは往々にして偏りがでるといわれます

また、非公式は受け手の受け取り方で+にもーにもなり得ます。
公式に年〇回、1回あたり○○分と決めておけば、
必ず全員と一定以上の時間を面談に費やすことになり、
ここでフィードバックやフィードフォワード(未来型発信)などの
コミュニケーションをとることで、
ビジョンの共有を図ることもできるわけです。

さて、努力で到達できる世界はたしかにあります。
しかし、まつやま保育園さんのように
「構造(仕組み)」がなければ越えられない世界も確かに存在するのです。
人口減少が進み、女性就業率が上昇し、
制度が複雑化している令和の時代。
私たちはいま、“努力を増やせば解決する時代”から、
“構造を持つ者が選ばれる時代”への移行の真っただ中にいます。

園児募集を例にとっても、
未就園児教室の充実、満3歳児の受け入れ、ホームページの刷新など、
これらで実績が上がる時代もありましたし、
もちろん募集の基本として現在も重要なことは間違いありません。
ただ、それだけではなかなか思うような結果につながらないのが今の時代です。

採用も同様です。
給与水準の見直し、福利厚生の充実、紹介会社の活用や求人媒体の拡大など・・・。
これらも確かに大事なことです。
しかし安定的に人が集まる園は、採用が“単発施策”ではなく、
理念の浸透からはじまり、独自の評価制度を構築して基準を明確化したり、
評価の結果をもとにフィードバックを充実させ、エンゲージメントを高める努力をしたり、
将来のキャリアが描けるキャリアパスの構築にいたるまで、
全てが連綿と結びついた構造(仕組み)になっています。

さて、ここで質問です。

みなさんの園で今でている成果は、
誰が指揮をとっても同じような結果の出る状況にありますか?
つまり、誰かの努力もしくは影響力に依存せず、
再現できる構造
に支えられているでしょうか?

例えばですが、
・年度目標を定め、行動レベルまで具体的に示されている
・中期計画は財務と連動した計画となっている
・人事評価は処遇改善と整合していて、先生たちが収入目標を設定できるようになっている
・加算取得は担当者の属人的努力に依存せず、毎年適切に取得できるようになっている

このような感じで、経営者或いは特定の誰かに依存しない状態
しっかり構築していくことが特に重要です。

ここに“構造の壁”があります。
加算は「取得できることが取れるかどうか」の問題ではなく、
“継続的に正しく取得し続けられる構造”があるかどうかが重要です。

令和時代の園経営は、努力の量のみで差がつく時代ではありません。
努力を投下する領域を決定し、どのような仕組みに落とし込むか?
で、差がつく時代なのです。

現場対応に追われ続ける努力から、制度を安定的に活用できる構造化への努力へ。
短期的な対応から、中長期的な財務基盤を構築する設計へ。

この転換が、次の壁を越える条件になります。

「就園前児童の受入はできている(はず)・・・」
「採用の仕組みも整っている(はず)・・・」
「加算は取れている(はず)・・・」
「処遇改善、人勧分の配分はおそらくこれで問題ない(はず)」

いま、多くの法人がこれらの「収支に直結する内容」を見直すべきタイミングに来ています。
そしてその第一歩として、現状を客観的に把握することが重要です。

園児募集に関しては、少子化と無償化政策含む制度改正の影響を受け、
ここ数年で満3歳以降からの募集が難しい状況に拍車がかかっています。

毎年年末にかけてピークとなる保育士の有効求人倍率も
令和元年の3.86倍からピークアウトしたものの、
令和2年以降また右肩上がりに高まり昨年末3.79倍まで高騰し、
採用難の終息が見えない状況は依然として変わりません。

施設型給付園(認こ園含む)はこのような採用難の中でも
人員をしっかり確保して、収入増(収入減を抑える)を図るためにも、
できる限り自園に適した加算を取得しなければなりません。
乳児等通園支援事業(誰通)が始まると、
私学助成園も同様にこの仕組みは部分的ではありますが、
適用される形になりますので、理解を深めておく必要があります。

処遇改善等加算の配分や人勧分の配分は
より戦略的な活用が必要になります。
実際によくある例ですが、
区分①を全額配分してしまい収支差額を出せなくなるケース・・・
園児数が減少しているにもかかわらず、
区分②、区分③を前年と同額を月次で支払うことで・・・、
過払いになってしまうケース
人勧分を類型額で配分しマイナスに陥ってしまうケース・・・、
枚挙にいとまがありません。

今回GCLIPでは難解な制度的課題と園の属人的対応の改善に着目し、
「施設型給付事務の黒衣(くろこ)」という新たなサービスをローンチしました。


経営における令和という海原は穏やかではありません。
だからこそ、馬力を上げて力強く推進するだけでなく、
船そのものを令和型にアップデートすることをお勧めします。

制度を“努力で乗り切る対象”から、“経営構造の一部”へ。
メルマガがその転換の一助となれれば幸いです。