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滋賀県大津市の条例改正案から考える園の魅力とは

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滋賀県大津市の条例改正案から考える園の魅力とは
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〈本文のポイント〉
・波紋を呼ぶ幼稚園教諭の給与体系を見直す条例改正案の概要
・人材不足への影響を懸念する声
・給与だけじゃない!山ゆり会の人が人を呼ぶ採用

〈本文〉
先月19日に開会した大津市議会(滋賀県)で、
提出された条例改正案が波紋を呼んでいます。
市立幼稚園教員の給与体系を見直し、
保育所に勤務する給与水準の低い保育士に合わせるというものです
可決されれば2026年度から施行され、
報道によると、初任給は約14,000円の減額になるといいます。


条例改正案提出の背景には、
大津市の待機児童問題があるといわれています。
大津市の待機児童数は2024年4月1日時点で184人、
2025年同時点で132人と、
2年連続で全国最多となっています。

12月の市議会一般質問では、
見直しの理由を問われた市幹部が
「待機児童解消が課題である中、
幼稚園教員・保育士の柔軟な配置を可能にし、
在職者との均衡を図る」と説明したそうです。

しかし、人材不足が課題となっている現在、
「これで人は集まるのか?」という疑念の声も上がっており、
インターネット上では、条例改正に反対する
約4万6千もの署名が集まっています。
(3月5日 午前10時 現在)

■条例改定に反対するオンライン署名を募るサイト
https://www.change.org/p/%E5%A4%A7%E6%B4%A5%E5%B8%82%E7%AB%8B%E5%B9%BC%E7%A8%9A%E5%9C%92%E6%95%99%E8%81%B7%E5%93%A1%E3%81%AE%E8%B3%83%E4%B8%8B%E3%81%92%E3%81%AB%E5%8F%8D%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B

対象となっている公立の幼稚園は、
公務員としての給与体系や雇用の安定性が特徴であり、
志望者の中には、条件面を重視して選択する層が
一定程度存在する傾向があると考えられます。
そのため、条例改正による影響が
強く懸念されていると捉えることもできます。

では、私立幼稚園への影響はどうなのでしょうか。
担い手不足が深刻化する現在、
求職者は私立幼稚園同士だけでなく、
公立幼稚園や保育所、さらには一般企業も含めた
幅広い進路をみていることを意識しなければなりません。
そして、その中で選ばれる存在になるという視点
採用活動を考えていく必要があります。

つまり、条件面を整えたうえで、
園独自の魅力を発信していかなければならない
ということです。

2022~2024度卒の保育学生に
就職園を選んだ理由を問う調査結果によると、
回答数の多かった項目は3年連続で
以下の通りでした。

1位「人が魅力的」
2位「理念・保育感に共感した」

「給料が高い」の項目は、
「人が魅力的」という回答の割合から
10ポイント以上下回り4位
ランクインしています。

画像1.png
(引用:2022~2024年度卒 マイナビ保育学生の活動調査より)

先日、弊社主催で開催した地域一番園実現勉強会にも
ご登壇いただいた
社会福祉法人山ゆり会の理事長 松山圭一郎 先生は、
「求職者や保護者には等身大を伝えている」
とおっしゃっていました。

松山先生によると、「園内の人間関係」について
特に求職者から質問が多いといいます。
「人間関係はいいと思うけど、
いいと思うものは、人それぞれ違うからね」

と、答えているそうです。
 
そんな山ゆり会さまが運営する保育園では
給与や働き方といった条件面の整備に加え、
園ならではの保育方針や職場の魅力づくりにも取り組み、
それらを発信することで、人が人を呼ぶ採用が実現しています。

松山先生によると、山ゆり会さまでは
全スタッフを対象とした
キャリア・ケア面談を年に3回実施しているそうです。
さらに、全正規職員を対象とした賞与面談は年に2回実施し、
職員と経営層との間で、認識のズレが発生しにくい状態を作っています。

さらに働き方の選択肢を増やすことで、
長く働くことができる環境の整備にも取り組んでいます。
採用案内の冊子には若手、中堅、ベテラン職員の
多種多様なキャリアが詳細に記されたページがあります。
中には、産休・育休後の働き方について紹介したコーナーもあり、
それぞれのライフプランに合わせた働き方の選択ができると分かります。

また、公式LINEでは定期的に
職員へのインタビュー動画を配信しており、
休みの取りやすさについて語る動画もあります。

このように山ゆり会さまでは、
気持ちよく働くことができる環境や
気持ちよく働き続けることができるイメージ
を伝え、職員の求める安定感に応えています。

一方、園独自の魅力づくりにも力を入れ、
広く発信している山ゆり会さま。
採用サイトでは、職員に入職理由や仕事のやりがい、
園の雰囲気などをきいたインタビュー動画を掲載し、
リアルな声を届けています。

中には、育休中に山ゆり会の一時保育を利用し、
先生たちが否定語を使わない保育などに魅力を感じて
入職を希望したと語る先生もいます。

松山先生によると、否定語を使わないことで、
「子どもたちの“やりたいこと”が、当たり前に出てくる
環境を作りたいと考えているそうです。

■山ゆり会さまの採用サイトに掲載されているインタビュー記事
https://yamayurikai-recruit.jp/interview.html#staff1

このように、等身大の情報を発信し続けている
山ゆり会さまの職員は、
元保護者や在籍している職員の紹介が多く
言葉の通り、「人が人を呼ぶ採用」を実現しています。

それは「給与」や「休みの取りやすさ」といった条件面だけでなく、
「ここで働いてみたい」「この人たちと働きたい」
という思いで、人が集まった結果です。

給与は確かに重要な条件です。
しかし、それだけで園が選ばれるわけではありません。
今回の大津市のニュースは、
そんなことを改めて考えさせてくれる
出来事でもあるのではないでしょうか。

行政の制度はこれからも変わっていきます。
市政が変われば方針も変わり、
制度も調整されていくでしょう。

この園で働きたい。
この園で子どもを育てたい。
そう思ってもらえる園をつくること。
改めて「給与だけではない園の魅力」について
考えてみたいと思います。