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園児募集・採用・マネジメントの動向と野上学園・風の森の取り組み

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園児募集・採用・マネジメントの動向と
野上学園・風の森の取り組み
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先日、GCLIPが開催している勉強会「地域一番園実現勉強会」にて、
東京都杉並区にあります、学校法人野上学園様・社会福祉法人風の森様
視察にお伺いさせていただきました。

野上学園の主事・風の森の統括である野上美希様と、
野上学園・風の森の事務長である野上巌様にもご登壇いただき、
過去から現在にかけての取り組みを、
詳しくご講演いただく、貴重な機会となりました。

今、園児募集、採用、そしてマネジメントにおいて、
どのテーマでも難しい状況が続いていますが、
これらすべての取り組みについてお話しをお伺いすることができ、
会員の皆様とともに、大変有意義な時間をいただきました。

今回は業界の動向や抱えている課題などに対しての
野上学園・風の森の取り組みの一部を
紹介させていただきます。

・園児募集の課題と取り組み
今年度の園児募集結果も少しずつ分かってきていますが、
やはり園児募集には以下の三つの動向があり、
この三つに対しての対策をどうしていくか、
ということが重要になってきています。

①地域におけるこどもの数が激減している
②共働き世帯がメインストリームとなっている
③1歳児からの預かりニーズが拡大している

どの地域でもこどもの数は減少していますので、
一つの学年の園児数を最大化するという園児募集は
難しい状況になっています。

今までの対象者だけではなく、
より広い対象者に対して園児募集を行っていく
ということが重要な時代になっています。

また、共働き世帯の増加により、
預かりニーズが拡大していることと、
1歳児からの入園ニーズが拡大していることも、
最近の大きな傾向です。

2号認定、3号認定を受け入れることができる
認定こども園という選択肢は一つの選択肢だと思いますが、
そうではない場合であったとしても、
こどもの数が激減している時代において、
共働き世帯への園児募集は避けては通れない時代になっています。

野上学園では
・多様な他者との関わりの機会の創出事業(東京版こども誰でも通園制度)
・風の森が運営している0歳児から2歳児の認可保育所
・認可保育所での1歳児からのこども誰でも通園制度と一時預かり事業
・1歳児の親子ひろば
・マタニティから2歳児までの親子イベント
・地域開放型の子育てカフェ
といった事業を行い、多種多様なニーズに応えることができる体制を作り、
様々な角度から0歳児から2歳児への接触を図ることができる運営を行っています。
この複合的な運営が、園児募集の成果に繋がっています。

多様化する時代において、様々なニーズに応える体制を作ること
園児募集においても重要であり、
こどもの数や対象年齢を超えた園児募集に繋がります。

来年度についていえば、
特に「こども誰でも通園制度」がスタートします。
この制度の性質をしっかりと理解した上で、
来年度からの未就園児教室を再構築していく必要があります。

時代や制度が変化していくからこそ、
今までのやり方にこだわらず、
対象年齢や仕組みをどう変化させていくか
とても重要になってきています。

・マネジメントの課題と取り組み
Z世代や若者は昔とは異なる発想を持っています。
このメルマガでも以前にご紹介しておりますが、
その変化をまとめると大きく以下の三つになると考えられます。

①安心感に対する定義の変化
→従来は生活保障の安心が大きい傾向がありましたが、
現在では心理的安全性や自己成長など、自分の心とキャリアへの安心感
重要になってきています。

②仕事に対する考え方の変化
→従来では法人に従属し、法人のために何をすべきか、
という視点において仕事をする傾向がありましたが、
近年では自分の人生を豊かにする、さらなる自己成長を
実現していくための構成要素の一つに仕事がある
という考え方に変化してきています。

③報酬の変化
→従来は金銭的なメリットが報酬としては大きな要素でしたが、
近年では報酬はもちろんですが、それだけではなく、
「感情報酬」が重要になってきています。
「感情報酬」とは承認欲求や自己実現の欲求を満たすための報酬で、
例えば褒めることやフィードバックをすることなどです。

野上学園、風の森はこれら三つの変化に対して、
しっかりと対応し、高い職員満足度を誇っています。

特に毎年行われる職員満足度のアンケートでは、
法人の目指す姿と個人の目指す姿とのギャップを確認する内容となっているため、
無記名での回答となり、法人にとって耳の痛い内容も時にはあると伺っていますが、
マネジメントという視点においては、早期に組織内の課題発見に繋がるとともに、
職員の状況も確認することができるため、
心理的安全性やフィードバックの機会に繋がり、
感情報酬を与える機会を創り出すことに繋がっています。

経営情報の見える化を通して、「人的資本経営」というキーワードが
登場していますが、まさしく人的資本経営を進めていく上で重要な
エンゲージメントを高める仕組みを10年前から作っています。

・採用の課題と取り組み
前述した園児募集において、多種多様なニーズに応える体制を作るためには
人材を採用できるかどうかがとても大きなポイントです。

こども誰でも通園制度も、認可保育所も、子育てひろばも
人材がいなければ行うことはできません。

多くのメディアでも取り上げられている通り、
野上学園、風の森は採用において、
圧倒的な成果をあげている法人です。

よくGCLIPでは園児募集でも採用でも
「パーセプションチェンジ」「抵抗の解消」
重要になるということをお伝えさせていただきます。
パーセプションとは認識で、パーセプションチェンジとは
認識を変えることを表しています。

例えばパーセプションの例としては、
幼稚園は担任制で責任が重い…
幼稚園はピアノが出来なくてはならない…
幼稚園は残業が多い…
共働きだと幼稚園は通いづらい…
などです。

また、抵抗の解消がなぜ必要なのかと言えば、例えば
この幼稚園の教育はとても良いと感じるが…
預かり保育が短い、給食がない、
休憩が取れない、有給が取れない…
などのような状況が考えられるからです。

野上学園と風の森はまさに
パーセプションチェンジを起こし、
抵抗の解消を行っている法人です。

それを感じていただく上でぜひご覧になっていただきたものが
風の森が運営する、picoナーサリのリクルート専用のInstagramです。

picoナーサリという世界観の創り方、
そしてpicoナーサリで働くことで実現されるイメージ、
さらに、これからどのようにしていきたいのか
という未来へのメッセージなど、
幼稚園や保育所を目指す学生や転職検討者などに対して
今までの業界の認識とは異なる世界観や
メッセージの発信、問題提起を行っています。

投稿する内容へのこだわりだけでなく、
近年のInstagramを運用する上で重要な
ショート動画を活用したリール投稿など、
ポイントもしっかりと押さえて運用しているため、
さらに成果に繋がっています。

また、これらの投稿は、先ほどお伝えした、
従来とZ世代、若者の仕事に対する三つの価値観の変化のポイントを
しっかりと押さえた内容になっています。

野上学園、風の森の経営は、
園児募集も採用も、マネジメントも、
時代の変化に向き合うのではなく、
時代の変化に合わせながら、
自園のらしさを大切にした経営をされていると感じます。

「現状維持は衰退だ」という言葉がありますが、
変化をしないこと自体がリスクに繋がる時代です。

野上美希さんは
「10年後という遠い先の話ももちろん大切ですが、
今の時代に必要なことを時代に合わせて柔軟に
しっかりと行っていくことが大事」
というお話をされていました。

今をしっかりと見つめ、起こっている変化や、制度に対応し、
柔軟に変化できる組織づくりが重要です。

・多様なニーズに対応できる募集体制
・職員満足度を確認し、心理的安全性を生み出すアンケート調査
・自園の世界観や働くイメージが湧くInstagramの運用

今回ご紹介させていただいた内容は一部ではありますが、
まだ取り組めていないことがあれば、
ぜひ来年度に向けて今から準備を進めていただければと思います。