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【園児募集の結果と次年度以降への対応 】

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園児募集の結果と次年度以降への対応 

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今年の園児募集を総括すると、
 
「3歳の入園は減少し、
 満3歳児入園はさらに減少した。」
 
となります。
 
もちろん、個別にみれば満3歳入園が増えた園もありますし、
3歳入園で昨年よりもいい結果が出ている園もあります。
ですが、全体の傾向としては、
「3歳の入園は減少し、
 満3歳児入園はさらに減少した。」
ということになります。
 
昨年までは満3歳児は年度途中の入園を前提に
認知度を高めるため、説明会専用のランディングページと
SNS広告を活用して説明会への誘導を強化しましょう!
と提案していましたが、制度変化のスピードが早く、
これも、だいぶ陰りが出始めています。
 
 
満3歳児入園減少の背景には、
東京(今年10月~)、大阪(来年9月~)をはじめ
各地の自治体で独自政策として3歳未満児の
保育料無償化の政策展開が増えてきたことに加え、
保育認定で通う場合に受ける恩恵は、
満3歳児で通う場合のそれと比べ大きいため、
比較されると「便益」という点で1号認定は劣後します。
 
 
先週のメルマガでは園児募集における
現状受入態勢の「認知度向上の重要性」について
林より解説させていただきました。
 
その中で、
保護者が重視する園選びの視点が
これまでの教育方針・内容という
“子どもの育ち”よりも、
利便性という“保護者の都合”が
より優先されるようになったことが
主な要因として指摘されました。
 
教育方針・内容 < 便益(保護者の利便性)
 
保護者のこの意識変化は長年私立幼稚園として
自園の教育を求める地域の家族を受け入れてきた
先生方にとっては俄かに信じ難いと思いますが、
社会の構造が変化し、
子どもを持つ母親の就業が「当たり前」になった社会
子どもを持つ母親が就業せず、
子育てに専念することが当たり前だった社会では、
“預ける側”が持つニーズが反転するのは
至極当たり前の現象と捉えることもできます。
 
 
“教育方針・内容が重要ではない”ということではなく、
「仕事をもつ母親が通うことができる!」という事が認知されないと
選択肢から外れてしまうため、まずはこの認知度を高め、
そのうえで”教育方針・内容”を発信することで、
他園との違いを理解してもらうよう広報コミュニケーションを
設計することが重要だということです。
 
 
マズローの欲求に例えると、
①低次元欲求(基本価値)が便益、保護者の利便性で、
②高次元欲求(付加価値)が教育方針・内容となり、
順番として、
①低次元欲求が満たされないと②高次元欲求に至りません。
 
 
さて、今年GCLIPでは総力を挙げて
関東に立地するいわゆるブランド園の調査をしました。
附属系と独立系の私立小学校受験で評価の高い園を、
分類分けし調査したところ次のような結果に至りました。
 
・附属系で小学校の偏差値が60以上は利便性が低くても集まる
・また、大学が全国区で有名な附属系も同様に利便性が低くても集まる
・付属系で小学校の偏差値が55以下の場合は認定こども園化して
 低年齢児・共働き家庭へ対象を広げている園の定員充足率が概ね100%となっている
・独立系で偏差値57以上の小学校への進学実績が多い園でも
 利便性への配慮(預かり、給食)がないと集まりにくくなっている
 
という傾向が出ています。
 
つまり、受験における圧倒的なインセンティブがある場合は便益の影響は少なく、
それ以外のケースでは便益がないと集まらなくなっているということで、
この傾向は今後さらに加速化していくと考えられます。
 
 
現在モデル事業として全国31自治体50施設で実施している
こども誰でも通園制度(=0-2歳の未就園児を対象とした制度)
2024年度は試行的事業として運用を拡大する予定です。
 
本制度が幼稚園の満3歳児入園に及ぼす影響は
今後さらに大きくなることが予想されるので、
幼稚園における0歳児、1歳児の受入れ枠の設定は
極めて急務になると考えています。
園経営の持続性の観点から、
可能な場合は低年齢児受入可能な認定こども園への移行の準備も
進めておくのが望ましいと考えています。
 
 
VUCA(不確実、不安定で複雑な)の時代と言いますが、
本業界も少子化の影響もあり極めて不安定で複雑化しています。
GCLIPとしてもマーケティングの知識と技術を駆使して
できる限りお客様にとって最善の結果を提供できるよう準備していますが、
マーケティング技術だけではどうにもならないことも増えてきました。
 
就学前教育保育施設においては、
入園の低年齢化に加え、無償化の影響拡大と多機能化が
今後より進んでいきます。
VUCA化が深化するこれからの時代に合わせて、
これまでのマーケティング提案に加え制度への対応や
新たな事業付加など提案の幅が多様化していきますが、
皆さんの経営の舵取りが常にベターであるよう
慎重かつダイナミックに提案(応援)してまいりますので、
最新の情報を受け取っていただければ幸いです。