DIARY

【子育て支援・少子化対策の今後】

・次元の異なる少子化対策の内容が少しずつ見えてきている。
・年収の106万円の壁をなくす取り組みを行っていく方向性。
・男性の育休取得率について、中小企業に対しても求めていく方向性。
・産後の一定期間、男女で育休を取得した場合の給付率を10割にする方向性。
・年収の壁、産休育休の充実は共働き世帯をさらに増やし、
 女性の就業時間が伸びることに繋がる可能性がある。
 
 
2022年の出生数は速報値で79万9000人と発表されました
 
そのような状況の中、3月17日に岸田総理が
「少子化」を最重要課題であると明言し、
「次元の異なる少子化対策」の大枠を語っています。
 
 
その中で少子化対策を以下の三つを基本理念とするとしています。
 
①若い世代の所得を増やすこと
②社会全体の構造や意識を変えること
全ての子育て世帯をライフステージに応じて切れ目なく支援するこ

 
上記の内容をベースに、今後の取り組みは、
以下の方向性で進むようです。
 
・年収の壁をなくす
現在では一定の年収を超えると社会保障などの負担が増してしまうため、
就労時間の抑制に繋がっています。
これに対して106万円の壁を超えても
手取りの逆転を生じさせない取り組みの支援を導入する
という方向性のようです。
 
幼保の業界の中でも、
最近では臨時特例の処遇改善などによって、
アルバイト・パートで働いている方は、
時給が上がり、その結果就労時間を減らさなければならない
という話をよくお伺いします。
 
そういった意味では年収の壁をなくすことによって、
職員体制には良い影響がある園もあるかもしれません。
 
一方で少子化対策として見た場合に、
これが少子化対策に繋がるのかは疑問を感じます。
 
 
・男性の育児休暇率を2030年度に85%にする
これまでは2025年度までに30%にするという目標でしたが、
国家公務員については2025年度に50%、2030年度に85%
実現していくという話があります。
また、産後の一定期間に男女で育休を取得した場合の給付率を
手取りの10割に引き上げるということが強調されています。
 
さらに企業に対してもそれを求めていく姿勢があります。
特に中小企業については育休の普及に向けて、
応援手当など育休を促進する体制整備を進める企業への
支援を検討すると話があがっています。
 
 
・フリーランスへの新支援策
フリーランスについては会社に所属していないことで、
育児に伴う収入減リスクが高いということで、
新たな経済的支援を創設するとしています。
 
 
・子連れ利用者に優先窓口
国立博物館などの国の施設では、
「子どもファスト・トラック」を設け、
子連れの利用者が窓口に並ぶことに苦労をしないようにする
という方向性が話されています。
 
 
その他、子育て世帯への住宅支援に関して、
公営住宅や空き家の利用、住宅取得支援などを通して、
住まいの環境を整えるということ、
また給付型奨学金などについては、
2024年度から多子世帯、理工農系の学生などの
中間層に対象を拡大するといった話も挙がっています。
 
 
上記の内容について、
これらがどのくらい少子化対策に効果があるか、
正直私にはイメージがわきません。
 
先日親しくしている、あるコンサルタントと話をした際に、
これらの政策は「少子化対策」と「子育て支援」を
同じで考えてしまっているのではないか…
という話がありました。
確かに子どもが生まれてから、
子育てをする上で助かる内容が多い印象があります。
 
 
私たちとしてはこれらの内容が幼稚園の経営に
どういった影響を与えていくか、
検討していくことが出来ればと思います。
 
国としては少子化対策として所得をあげていくことが重要だと捉え
育休の充実や就労時間の壁をなくすという取り組みを行っていきます。
これは見方を変えると働く方をさらに増やしていく取り組みでもあと言えます。
 
出産しても現在の仕事を辞めることなく継続して働くことができる
パートタイムの方がさらに時間を長くして働くことができる
ということです。
 
そのように考えますと、今よりも育児をする共働き世帯は
増加していく可能性が十分にあると考えられます。
 
すでに女性の就業率は約80%です。
出産をしても、この就業率が減少しなければ、
ほとんどの女性が働いているということになります。
 
しかも終業時間の壁をなくす方向に動くということであれば、
長時間働く人が増える可能性があるということであり、
いわゆる8時間利用を前提とした保育短時間よりも、
11時間利用を前提とした保育標準時間が増えていく
という可能性もあるということです。
 
 
少子化対策に関しては、
具体的な財源なども含めた大枠を3月末に取りまとめ、
6月の「骨太方針」までに子ども関連予算を倍増していく大枠を出す
という予定になっています。
 
昨日、自民党が少子化対策の提言を取りまとめ、
児童手当の所得制限撤廃の拡充や
小中学校の給食費無償化、新婚世帯や子育て世帯への住宅支援などについて
提言をしていくという報道がありました。
 
3月末により詳細の情報が発表されることになりますが、
幼保の業界にも大きく関わることが出てくると予想されますので、
注目しておきたいところです。