DIARY

【”Z化”する社会の教育経営を考える 】

<本文のポイント>
・”Z化”する社会は当たり前に敏感になる社会である
・教育の実践がしにくくならないように
 自園の教育を行政とすり合わせの上、保護者に伝えよう!
・信用価値を高めた園が、園児募集、採用で成果を出す
・ついに到来した本当の競争時代に備えて教育に磨きをかける
 
 
<本文>
 
いよいよ2022年が終わろうとしています。
皆さまにとって今年はどんな年だったでしょうか?
園児募集や採用に関しては
本メルマガで再三にわたり触れてきました通り、
トレンドの変化するピッチが速くなり、
もはや去年の成功例の踏襲では同じような成果に
つながらないことが多くなりました。
 
 
消費をけん引するZ世代(1996年生れ以降世代)の台頭により、
社会全体が‟Z化”していることが、
理由の大きいところではないかとの考えに今のところ至っています
 
この現象は当然と言えば当然なのですが、
文明の発達によって利便性が向上すれば、
人々はそれをうまく活用し、生産性を上げて、
生活を豊かにしながら社会は発展します。
 
別の見方をすれば、世の中がコンビニ化したと捉えることができます。
 
タイパ(タイムパフォーマンス)を重視する若者の
研究事例がよく取り上げられた一年ですが、
タイパを重視しているのは何も若者だけではありません。
一例をあげれば、
TVよりも視聴効率の良いネット配信動画を観る機会が増えましたし、
電話や直接会って話すというコミュニケーションより、
手軽なツールを用いたコミュニケーションに移行しています。
 
時間や場所を選ばず、手軽に使えるコミュニケーションツールは
感情の伝達に乏しいため、使い方によってはマイナスに作用して
思わぬ事態を招くことも少なくありません。
 
GCLIPでは重要度が高く、感情の相互理解が必要な案件は
電話ないし、直接会って話すように心がけています。
理由は、結果の裏側にあった背景や行動のベースにあった思考を
感情を伴って共有することで相互理解を深めるためです。
 
 
すみません、脱線しました……
コンビニ化した世の中の話に戻しましょう。
 
時代の流れと言えばそれまでかもしれませんが、
子ども子育て支援新制度以降もそうでしたし、
幼児教育・保育の無償化以降後はより加速度的に、
幼稚園に利便性を求める人は増えました
 
私たちが現場で収集した事例に基づきますが、
預かり時間は伸びて、給食実施園数も増え、人員配置も増え、
休日行事は減り、月謝や利用料支出も著しく減りました。
おそらく全国の幼児教育・保育施設が同じ傾向にあると思います。
 
使い手(利用者)の利便性に配慮した政策によって
決定した制度が基盤となっているのでこれらの結果は必然的ではありますが、
利用者がこの環境に慣れて、”当たり前”になってしまうと
園側が追求する教育の実践を阻害する可能性が増幅してしまいます
 
 
ちなみにですが・・・、
コンビニエンスストアもサービス合戦を繰り広げた結果、
・男女別トイレの設置
・駐車場
・喫煙ルーム
・イートインコーナー
が標準装備されていないと都内でさえ客足は鈍くなると言われます
 
元々、消費者にとってコンビニは、
緊急度の高い商品を揃えて休みなしで夜遅くまで開いてることが
ありがたかった存在でしたが、
競合が増えることで24時間365日営業は当たり前になり、
消費者にとって利便性の高いサービスを付加し続けた結果、
「ありがたみ」が「当たり前」に変わってしまいました。
 
 
人間には、このように利便性が向上することで、
本来の価値を見失う性質が備わっているため、
過度な利便性の向上は「教育」の実現を阻害しかねないのです。
 
 
コンビニ化する社会の潮流の中で、
「虐待」がトレンドワードに上がってくるほど
激しい向かい風の中にある昨今の保育業界(幼児教育含む)は、
事前の情報共有で特に注意が必要です。
 
 
ある園長先生と話していて、
ウチは食育に力を入れていて栄養のバランスを考えて給食を作っていますので、
アレルギーや満腹等の理由ではなく、好き嫌いを理由に食べることを拒否したときに、
食べるように指導することで「虐待」と捉えられる可能性はありますか?
と、問われました。
 
可能性という観点で考えれば、その可能性はありそうです。
そのため、事前に行政の担当課と自園の教育方針に協議したうえで、
教育方針として、好き嫌いなどの理由で食べないという場合は、
教育的観点から子どもと向き合い食べるように導くことを
説明会などでしっかり伝えておくようにするのがベターだという話をしました。
ここで重要なのは、行政(監督者)とすり合わせをしているという点です。
2015年の新制度開始以降何かとかかわりの増えた自治体の担当課に
事前にリスクとなり得るネタを相談しているという根回しが、
自園のリスク回避に大きく役立ちます。
 
実に手間がかかりますが、
コンビニ化する社会とは先ほどの利用者が利便性に慣れた例の通り
”当たり前”が猛スピードで拡大しますので、そんなことまで求めるの?
と耳を疑うような要望がまかり通る社会となっているのも事実です
 
自園のリスク回避の観点から、
行政へはできる限り丁寧に事前の根回しをして、行政との共通認識をもとに
自園の価値観や教育的価値を整理し保護者に伝えていきましょう。
 
 
今年を振り返ると幼稚園や保育園において、
痛ましい事故や目を覆いたくなるような事件が相次いだ1年でした
この手の事件、事故を防ぐために国は人員配置の見直しや
テクノロジーの導入強化が検討されていますが、
仮に配置数を十二分に増やしても・・・、
最新のテクノロジーを導入したとしても・・・、
事故が起こるという前提に立ったうえで、
それをつかさどる人の意識を高く保つことが最も重要なはずです。
 
 
この点で、今後はより信用価値が高い園に人が集まるようになると考えられます。
信用価値が高い園とは、以下のような園です。
 
 
教育方針が分かりやすく現場で実践している教育の背景の理由も明確である
・自園はどんなことを大切にしている園なのか?の事前説明があり、納得した上で入園する仕組みがある
どんな先生が担当してくれているのかが明確でコミュニケーションが取れる
・就園前に互いを知る仕組み(子育て支援、未就園クラス)がある
・子どもの成長の様子を伝える仕組みが整備されている
先が見えない未来に向かってどう向き合っていこうとしているのかビジョンが明確
 
など。
 
 
学生に対しても、ほぼ同様の取組で信用価値は高まります。
もちろん上記以外にも信用価値を高めていく取組はありますので、
相手を信用できて、自園も信用されるという視点で、
園の取組を整理していくとよいでしょう。
 
 
2022年度の出生数は80万人を切るとの見方が強く、
かつて予想したより8年前倒しのスパンで減少しているのが
今の日本の出生人口事情です。
 
 
子どもを預かり教育する施設は供給過多の状態です。
教育で勝負する本当の競争の時代が到来します。
この点を見据えてしっかり組み立てていけば、
皆さんの経営の未来は必ず明るいものになるはずです。
 
私たちも引き続き価値ある情報を提供できるようコンサルティング
知識と技術を磨き続けてまいりますので、是非、共に頑張って参りましょう!
 
 
メルマガ読者の皆さま、2022年もありがとうございました。
2023年が皆さまにとってさらに良い年となることを祈念しております。
 
 
GCLIP一同