DIARY

【 最重要課題として何よりも”タイパ”を優先する若者たち】

<本文のポイント>
 
1.
タイパ(=タイムパフォーマンス)を優先する若者は、
地道な努力や遠回りを重ねて熟練していくという
かつての成長方法をタイパが悪いと切り捨てる。
 
2.
まずは自ら考えてチャレンジを促されるのはタイパが悪く、
このような指示を出す相手に対しては”意地悪な人”という印象を持つ若者。
 
3.
Z世代の採用・育成におけるポイントは
最初にポイントを提示し長文を読まなくていいようにすることと、
予め答えを提示し”失敗しない”ように導くことに集約される。
 
4.
相手に理解し動いてもらうための採用情報はネット、動画、紙などの媒体問わず、
結論や行動促進をメディアの一番分かり易いところに掲載することが重要。
 
5.
若者の4つの仕事観についての解説。
 
 
—<本文>—-
 
「映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形」

の著者、稲田豊史氏の講演を聞いて、

若者、というか現代社会に生きる私たちの行動の変化を改めて認識しました。
 
とりわけ、”ポストミレニアル”と言われるZ世代の若者は
時代の流れに極めて敏感且つ柔軟に適応する能力に長けているため
今の時代に合致した行動様式をいち早く取り入れ習慣化します。
 
 
ネットフリックスやアマゾンプライムビデオには
”10秒送り”や”倍速視聴”機能が搭載されていて、
このような社会では若者を中心に倍速視聴が習慣化し
要約や結論を先行して求める人が増えているといいます。
 
 
この習慣の背景には、次の3つの要素があるそうです。
 
①供給作品数が多すぎる
②セリフですべて解説する映像作品が増えた
③‟タイパ”(タイムパフォーマンス)を求める人が増えた
 
 
①供給作品数が多すぎる
かつて、映像コンテンツと言えば、
地上波テレビ、BS、CSに加え映画とレンタルビデオ(DVD)だったのが、
現在では、先に紹介したネットフリックスやアマゾンプライムビデオのように
安価で配信されるサービスとYoutubeやTver等無料配信メディアが加わったことで、
倍速にしないと話題になっている作品を観きれないという課題が生まれました。
 
また、インターネットの発達によって情報の民主化が起こり、
ネット上にある数多の情報を処理するために
「まとめサイト」「本文の要約」「記事へのコメント」をざっと読み
本分にたどり着かずに物事の判断をする人が増えているといいます
これが、フェイクニュースに翻弄される人が増えた大きな理由だと言われます。
 
 
②セリフですべて解説する映像作品が増えた
作品数の多さに加え、説明 セリフ 過多や‟わかりやすさ”を求 める 世情があり、
セリフの無いシーンはストーリーが進んでいないと認識され、
「飛ばしてみても構わない」という風潮があるとされています。
 
稲田氏によると、
「 いかようにも解釈の余地が あるカオスな事象を 、
  誤解なく、一意的に、わかりやすく単純化している 」
ということで、現代の若者の気質にぴったり合っているのだとか…
 
「先生、どうかみんなの前でほめないで下さい」金間大介著(東洋経済新報社)
には、若者たちの実態が次のように紹介されています。
 
 現在の若者は、 
‟消費者が受け取った情報を自分で解釈しなければならない ”
一方通行メディアであるマスメディアよりも、
”見たそのままの感覚で、自分で決めたというストレスなしに、購買に至ることができる”
SNSに 投稿されている消費体験やインフルエンサーの情報を好み、
自分の意見に自信がないから、自分で決めることや、
”いったん球を持たされること”に抵抗がある人が多いと言われます。
 
つまり、自ら判断して決めるのではなく、
正解として与えられた情報をもとに行動するという習慣が身についている
ということになります。
 
 
③タイパを求める人が増えた
これは前提として、Z世代には”共感強制力”が働いているといいます。
共感強制力とは、みんなが「いいね」していて話題になる
インスタやTikTokの情報は当然知っていて、同じように共感しなければいけない!
といった一種の強迫観念のようなものを指します。
 
これは、実に現代社会らしい課題ですが、
24時間常時接続のLINEというコミュニケーションアプリ内に存在する
複数のグループに細分化されたコミュニティで同時展開される
「話題」への共感・即レスが背景にあると言います。
 
 
「‟既読スルー”は避けたい!」
 
「話題についていかなきゃ!」
 
「共感して、即レスしなきゃ!」
 
 
こんな感情が若者たちの心の中で渦巻いて、
自己充実のために視聴するはずの映像コンテンツという娯楽が、
今では”コミュニケーションツール”となっているというのです。
 
メルマガ読者の皆さまは既にお気づきかもしれませんが…、
Z世代の若者にこのような行動が身に付いた最大の理由は、
「失敗したくない」ことにあるといいます。
 
みんなが観ているものを自分が観ていないのは
コミュニケーションツールとしてコスパが悪いことになります。
 
 
 
実は私もこんな経験がありました。
 
一昨年の秋口、映画「鬼滅の刃~無限列車編~」が公開された当初、
強烈な”キメハラ”を受けた私はその日のうちに状況の打破を目指し、
夜を徹してネタバレサイトを読み漁ることで翌日には世間で繰り広げられる
”鬼滅トーク”の輪にスルッと入り込んだという経験があります。
 
多少時間のコストはかかりましたが、
無料かつスマホをひたすらフリックするといった低コストで
”キメハラ”から脱却できたことを考えれば
時間当たりの費用対効果(タイパ)は相当良かったのではないかと思います。
 
 
 
「こんなに話題になっているアニメ知らないの?」
 
 
と、周りの人が考えているとは思いませんでしたが、
確かに、目の前で「炭治郎が○○!」「煉獄さんマジすごい!」「ムイくんが!」
と、楽しそうに話題のアニメネタで盛り上がっている輪に入れないとなると、
幾ばくかの疎外感を感じましたので、
若者にとっては強烈に疎外感を感じるのではないか…と思います。
 
 
これが若者がタイパを重視することで避けたい「失敗の正体」なのです。
 
 
若者の脳内はこんな感じの思考で埋めつくされています。
 
(知らない…とは言えない…)
でも1から順を追って修行的に体得する気力も体力もお金もない…
(なんとかショートカットできないものか…)
 
この思考回路が生みだしたのが、
早送り視聴であり、ネタバレサイトなのです。
 
 
この若者の特性を考えると皆さんの職場で新人の先生に、
「聞く前にまず考えてやってごらん!」というのは、
相手が早送り視聴をしてきた若者であれば苦痛なのも頷けます。
 
 
この特性に沿って考えると、
採用フェアに学生が集まらなくなる理由もおおよそ理解できます。
ブースはどこも変わり映えしなく…、
出てくる情報もさほど違いがない…、
行ったらなんとなく帰りにくいし…、
タイパが悪い…、
ということで、参加しない。
 
じゃ、ネットでサクッとみてみようかな?
と、スマホでHPを開いてみるも、
スマホ対応になっていないので見る気にならない…
スマホ対応していても、
イメージ写真や動画が先行し、
肝心の簡潔で分かり易い欲しい情報が見当たらない…、
探せばあるのだろうが、文字が多すぎて
やはり、タイパが悪い…、
ということで、キュレーションサイトに行ってみると、
どこも判で押したように同じ情報しか載っていない…、
便利なはずのキュレーション(まとめ)サイトが、
とっても不便でやっぱり…、
タイパが悪い…。
 
 
するとやはり就職課にある求人票かな
 
ということで、就職課行くと…、
あいうえお順で一応分けられた分厚いファイルに綴られた
見た目も内容も変わり映えしない求人票。
取り敢えず「あ行」を開いてみたものの、
この見た目変わらない書類から自分にあった園を見つけるなんて
できるわけがない…。
タイパが悪いどころの話ではない…。
 
 
あくまで若者の特性を踏まえた上でのイメージですが、
こんな風に感じているのではないでしょうか?
 
 
もちろん、情報リテラシーが高く、
長文を読んでしっかり理解したうえで応募してくる学生もいます。
が、ほんの一握りと捉えておくのが妥当だと稲田氏は言います。
多くの学生はタイパを重視するので、
採用情報は分かり易く、行動の呼びかけなど迷いの無い様に
結論をはじめに持ってくるように作りこむように工夫すると
反応率が上がってくるかもしれません。
 
 
今回、このメルマガも冒頭に”まとめ”を用意したことで、
ここまで読んで下さった方もいらっしゃると思います。
正直、本文が長いので時間の無い中で読んでいただいている読者の皆様には、
冒頭でまとめや要約をお送りするのがいいのかもしれません。
(書き手、読み手それぞれの解像度も上がりタイパがいいです!)
 
 
因みに先に紹介した金間大介氏の著書(P. 150)より、
今どきの若者の4つの仕事観というのが役に立ちそうなので引用します。
 
 
1.とにかく人目は気になるし競争もしないけど、自分の能力を活かしたい
 
2.そこそこの給料をもらい残業はしないけど、自分の能力で社会貢献したい
 
3.自ら積極的に動くことはないけど、個性を活かした仕事で人から感謝されたい
 
4.社会貢献と言っても、見ず知らずの人に尽くすとかではなくて、
        とにかく「ありがとう」と言ってもらえるような仕事がしたい
 
 
分かります、正直イラっとしてしまいますよね。
でも、これがZ世代の仕事観で、すべて受け身です。
受け身ではあるのですが、貢献したい!活躍したい!「ありがとう」が欲しい
など、多くの人が持つ善良な感覚も持ち合わせています。
 
つまり、ベビーステップやスモールステップと言われる寄り添いが
若者を導く側には必要になりますし、
これまで以上に忍耐力が試されることになると思います。
 
人材育成で引用される山本五十六元帥の名言全文を、改めて。
 
「 やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。 
  話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。 
  やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず 」
 
連合艦隊を率いた山本元帥もはじめは、
やってみせる(≒答えを与える)ことが重要だと言っています。
できるようになれば、面白くなってチャレンジするのが人間です。
失敗の重要性が分かってきたら、
考えて、チャレンジするというステップを踏ませてあげれば十分人は育つ、
ということだと理解するに至りました。
 
 
さて、採用で対象となるのはZ世代です。
1997年生まれ以降がZ世代と定義されていますから、まもなく、
あるいは既に、募集対象児の親もZ世代となります。
より分かり易い(理解されやすい)情報提供を心掛けましょう。
 
GCLIPでは採用、募集はその時期に特設ページを設置し、
インターネット広告を使ってその特設ページに誘導することを勧めています。
動画や分かり易い文章で相手に自園を理解してもらい
説明会や見学に来てもらうことを第一の目的とするためです。
 
 
東京都西東京市にある田無いづみ幼稚園さんが設えた
満3歳児の説明会への誘導ページが分かり易いので参考にして下さい。
 
 
 
内容もボリュームもタイパを重視する現代の対象者に届きやすいです。
また、HPに組み込むのではなく、
独立したランディングページとして広告とセットで運用することで
余計な情報に気を取られず対象者が欲しい情報にストレートにアクセスし、
意思決定してもらえる設計になっているため、
反応のコストパフォーマンス(コスパ)も極めて高いです。
 
 
コチラも是非タイパを重視する相手目線で作成し、運用してみて下さい。