DIARY

【 社会課題の解決 】

社会課題の解決 】Posted by Hayashi

 

先日GCLIPの経営者向け勉強会にて
オリィ研究所が運営する「分身ロボットカフェDAWN」の体験と
代表の吉藤健太朗(オリィ)さんの講演を受講してきました。
 
オリィ研究所は主に”分身ロボット”を媒介して、
‟障害”のある人々の社会参加のハードルを取り除くというユニークな取り組みで
【 社会課題の解決 】にチャレンジしていて、
2021年にGOOD DESIGN AWARDのグランプリに輝いています。
 
 
オリィ研究所は「障害」を障害者手帳の有無などではなく
「したいことがあるのにできない状態」と定義しているため、
育児などで思うように社会に参加できない方を
「外に出て働きたいのに子育てのためそれが叶わない=障害状態にある」と捉え、
「分身ロボット」による社会参加によって、
この手の「障害」の解消にも取り組んでいます。
 
▼オリィ研究所のミッション
 
 
さて、オリィ研究所の取り組みですが、
もともと代表の吉藤さんは小学校5年生から中学校2年生まで
引きこもりを経験していたと言います。
一度引きこもると、再度社会に参加するハードルは
著しく高くなるというのです。
確かにインフルエンザなどで2~3日学校を休むと、
どことなく気恥ずかしく学校に行くのが億劫になった記憶があるので、
吉藤さんの指摘はなるほど頷けます。
ただ、現場に出るのが自分の身体以外の媒体に代わると、
再度、社会に参加する際のハードルは一気に下がるといいます。
 
これは実に面白い指摘ですし、
多様な視点で見たときに「障害」を抱える人がロボットを介して
社会と接続できる技術と機会を提供するというのは、
社会課題解決の提案として非常に価値の高い取り組みです。
 
 
ALS(筋萎縮性側索硬化症)や脊椎損傷等の肢体不自由者など、
身体に重度な障害を抱える方の‟働きたい”というニーズをOriHimeという
分身ロボットによって満たし、品質の良いサービスを提供するための
試験的環境としてオープンした「分身ロボットカフェ DAWN」はver.βとして、
常に改良、進化し続ける仕様になっています。
食べログの評価も3.20と比較的高く、
実際にいくつかのメニューをいただきましたが提供される食の品質も、
接客の品質もよく、内容の充実度は申し分ありません。
 
席に着くと、「パイロット」と呼ばれるOriHimeを
操縦をする遠隔操作者たちはテーブルでの過ごし方や注文の仕方など、
一通りカフェの楽しみ方を説明してくれます。
その後パイロットの自己紹介が始まり、
テーブルに着いた人たちが質問したり、
パイロット側からの質問に答えたりして会話に発展していきます。
 
そうしているうちにQRコードから注文した食事が運ばれ、
その食卓をOriHimeパイロット含め全員で囲み、さらに会話は発展します。
 
なんとも不思議な感覚ですが、
実際に重度障害を抱える方を目の前にしたら、相手を傷つけないよう気遣いながら
目のやり場や言葉なんかも選んで会話をするでしょうし、
こんなに”普通”に話を展開することもないだろうと思います。
 
これが、オリィ研究所のミッションにある、
「孤独化という社会課題の解決」であることが体験できます。
 
吉藤代表の講話の中で、
「‟ありがとう”は枯渇する」
と、いう話が実に印象的でした。
 
自身の不登校(引きこもり)時代に、
クラスメイトや先生が自宅を訪問してくれて
”学校に復帰できるように”と色々お世話をしてくれたそうです。
その度に「ありがとう」を言い続けていると、
自分自身が存在価値のない人間に思えて、
‟有難み”よりも‟虚しさ”が勝っていくと言うのです。
 
身体に重度な障害を抱えつつ脳に障害を持たない方は、
「ありがとうが枯渇しやすい」存在だと吉藤さんは言います。
そこで、こういった方々がお客さんから「ありがとう」をもらい、
「ありがとう」が蓄積される仕組みをつくったことは、
本当に大きな意味を持ちます。
 
 
吉藤さんとオリィ研究所はロボットを開発することで
【 社会課題の解決 】に挑戦し、
外出困難者の就労サポートというひとつの可能性を開花させました
幼児教育・保育業界においてはまず、
どんな‟社会課題”があるのでしょうか?
そして、どんな”解決策”が考えられるでしょうか?
自園が存在するエリアの社会課題は何でしょうか?
これら課題の発掘と解決案の提示こそが
地域社会にとってなくてはならない存在としての
プレゼンスを向上させていくはずです。
 
 
児童発達支援や放課後等デイサービスの整備・運営によって
地域社会の課題解決にチャレンジする法人もありますし、
親が子どもと向き合う時間を確保するために、
ランドリー事業にチャレンジする法人もあります。
3年生以降も子どもたちが積極的に通いたくなる学童運営や
0-1歳の親の心を満たす広場事業など、
地域の実情と不足している”サービス”をかけ合わせて
‟自園にできる地域に必要なもの”を提供すれば
地域社会の課題解決となり、
自園が地域にとってひつような存在となります。
 
 
出生数が減少によって縮小する中で
新たなパイ(需要)を発掘していくためには
新たな視点が必要ですので、
是非、地域の子育て関連需要を探ってみて下さい。