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【 ターゲティングの弊害 】

【 ターゲティングの弊害 】Posted by Hayashi
 
 
マーケティングにおいて重要なことは、
ターゲティングだと言われてきました。

マーケティングの第一人者である
フィリップ・コトラーという方が、
マーケティングで重要なものとして「STP」を挙げています。

S→セグメンテーション
T→ターゲティング
P→ポジショニング

を表しています。

しかし、これからのマーケティングで重要なのは、
ターゲティングのような対象者を絞ることではない
ということを聞くようになりました。

なぜならばターゲティングが

ネガティブに働く可能性があるためです。

主に理由は二つあると言われています。

①多様性への理解と共存・共生・共栄

2021年7月に恵比寿駅西口誕生した
公衆トイレが話題になりました。
デザインを手掛けたのは佐藤可士和さんです。
このトイレは男性トイレ、女性トイレという区別がありません。
どなたでも利用出来るトイレです。

また去年3月のことですが、
札幌地裁が同性婚を認めないことは
違憲とする判断を示しました。


求人票を記載する際も決まりごとが多くなっています。
男性優遇、女性優遇という言葉はもちろん違法ですし、
年齢を制限する表記についても例外はありますが、
基本的にNGになっています。

世の中の方向性として

多様性を認めていくことへの理解が進んでいます。

このような時代の中で、
対象を絞る表現や排除の印象を与えてしまうような表現は
最近では良い印象を与えなくなってきているのです。

ターゲティングとは
対象者を絞ることで、その人にあった提案ができるため、
とても重要なことであると言われてきましたが、
それ自体が逆に対象者からもネガティブな
イメージに捉えられてしまう可能性があるのです。

②人口減少による対象者の減少
日本の人口は減少しています。
多くの業種で人口減少が起こると

必然的に対象者が減少します。

そのためターゲティングを進めていくと対象者が絞られ、
数を得ることができなくなってしまいます。

対象者とはすなわちマーケットのことであり、
マーケットが少ない状況では、
競争が激化したり、淘汰が生まれていきます。

対象者を絞りすぎてしまうことは、
経営を安定的に行っていく上でも、
ネガティブになる可能性があるのです。

また、前述の通り、最近では共存・共生・共栄が
トレンドになってきていますので、
淘汰が起きそうな戦略や独占するような方向性は
ネガティブな印象を与えてしまう可能性があります。

Gクリップではマーケティングを
「相手が気持ちよく次の行動に移ること」
と表現しています。

最近ではターゲティングをすることが
相手を気持ちよく

次の行動に移すことが出来ない可能性が出始めているのです。

今、ターゲティングよりも重要なことは、
「未来を語ること」だと言われています。

・私たちはどのような職場環境を作っていくのか
・私たちはどのような地域を作っていくのか
・私たちはどのような社会を作っていくのか

などを考え、未来に向けたメッセージを伝えることが
共感を生むと言われています。

未来を語ることは、

昔から重要だと言われていましたが、
時代背景を踏まえるとその重要性は増しています。

最近では若者の消費行動は「購買」ではなく、
「投票」の要素が強いと言われています。

世の中はとても豊かになり、
商品一つ一つを見ればこれ以上進化させる必要性が
あるのかどうかというところまできています。

だからこそ、

その商品の機能やデザインといったものを
選択するだけではなく、
その商品を作っている企業や法人の姿勢そのものを
選択する傾向が出てきているのです。

「投票」の要素が強いというのは消費行動そのものが、
その法人・企業をこれからの時代に残ってほしいかどうか、
応援していきたいかどうか、

という視点に代わってきているためです。

これからの社会において、
・未来を語ること
・応援されること

というのはとても重要なキーワードだと言われています。

法人を取り巻く環境や商品、

サービス内容だけではなく、
法人の姿勢そのものがとても重要になる時代です。

幼保の業界でも、園の環境や人材、

教育内容だけではなく、
法人としての姿勢をどのように示していくかが
重要な時代になってきています。

保護者に求められていることは何か、
地域に求められていることは何か、
社会に求められていることは何かを考え
ぜひ未来を語ることを

意識していただければと思います。