利用者の満足度を高める「東京浴場」
<本文のポイント>
・ 一時閉業後に再生した町の銭湯
・ 東京浴場は、利用者の満足度を高める空間を提供している
・ 銭湯でありながら、入浴後の“寛ぎ”に力を入れている
・ 園に訪れた親子の満足度を高める取り組み例
東京都西小山駅から徒歩1分に
地域から愛される経営をしている「東京浴場」があります。
一度閉業した後に若者視点の工夫によって
再生した銭湯として知られている町の銭湯です。
東京浴場は、1951年(昭和26年)に創業した銭湯で、
2019年に一度閉業しましたが
「ニコニコ温泉」によってリニューアルオープンを果たしました。
ニコニコ温泉は、日本各地で後継者難に悩む経営者に代わって
お風呂屋さんを運営する「温泉代行業」を手掛けています。
リニューアルといっても、
浴場はかつての古き良き雰囲気を残すため
あえて大幅な改修は行わず、
銭湯に馴染みのない人にとっては新鮮で
昔から慣れ親しんでいる人にとっては
懐かしさを覚える雰囲気が漂っています。
(東京浴場HPより)
東京浴場の大きな特徴は、
足を運んだ人が何度も来たくなるような
ワクワクする空間を提供していることです。
私も実際に利用してみて、その居心地の良さに驚きました。
訪れた時間帯が夕方だったこともあり、家族連れが多く
地域に住む“常連客”で満員状態でした。
入浴後にくつろげる空間は、
「賑やかな図書館」のようなスペースになっています。
施設の高さを活かした室内は、本棚にぐるりと囲まれており
絵本から漫画まで、約7,000冊が収納されています。
(東京浴場HPより)
懐かしい手塚治虫の漫画から、
ドラえもん、クレヨンしんちゃんの漫画、
中高生が好む恋愛漫画、子供が楽しめる絵本など
幅広い世代が対象になるようにされています。
テーブル6つと イス16脚以上が置かれ、
ファミリーでまとまって着席できるスペースから個室空間もあり
入浴後の時間を思い思いに過ごせる場です。
店内販売されている駄菓子があり、飲食可能で、
入浴後の余韻を楽しむ利用者で賑わっています。
飲料は、企業商品とコラボした期間限定商品もあり、
リピーターであっても飽きない工夫がされています。
(銀河高原ビールとのコラボ企画:
https://www.instagram.com/p/C-
また、ロビーには、
棚の1枠を自分の本屋として出店できる仕組み
「フロナカ書店」が設置されています。
1枠あたり月額4,000円で借りることができ、
販売手数料はありません。
「利用者」という視点だけでなく、
出店者として運営の目線に立って
銭湯を利用できる場となっています。
入浴スペースには、毎月の通信が貼られており、
そこにはスタッフ全員によるコメント集や
手づくり4コマ漫画が掲載されています。
東京浴場のスタッフの人柄に触れるコンテンツであり、
繰り返し利用する楽しさを実感できるものです。
じっくり読んでみると、
どのスタッフからも、
東京浴場に対する強い愛着心が伝わってきました。
利用者の満足度を高められるように、
若手の視点を活かした工夫をして運営していることが分かります。
園でも、足を運んだ親子の満足度を高めて
繰り返し来たくなる場の提供をすることで、
入園者の獲得、さらには地域から愛される園づくりに繋がります。
例えば、0~2歳児の未就園児を対象とした
「居場所提供型」の子育て支援ひろばであれば、
子ども向けの活動だけでなく、
保護者としての居心地の良さを実感しやすくなります。
また、室内に子ども向けの絵本や
大人の育児を励ます大人向けの絵本を揃えて
貸し出せるようにすることで、
利用するメリットを実感しやすくなります。
サイズアウトした子ども服や使わなくなったベビー用品を
必要なモノに交換できるおさがり交換会の場を提供することで、
親同士の繋がりに、満足感が得られやすくなります。
足を運んだ人の満足度を高める工夫を
自園でもぜひ取り入れてみてください!